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村上宗隆はシーズン前半戦、なぜ苦しんだのか 名コーチが指摘する3つの要因と大谷翔平の存在 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Koike Yoshihiro

 当然、村上も外角主体の配球はわかっているはずだし、昨年も同じような攻め方をされていたことはあった。ただ昨年は、外の球でもストライクゾーンなら鮮やかなミートでセンターからレフト方向に飛ばしていたのだが、今年はそのバッティングができていない。村上自身、いつかインコースに来るはずだと思いながら打席に立っているのではないだろうか。

 そのため昨シーズンは打てていたアウトコースのストライクゾーンを打ち損じ、迷いがあるためか空振りも多い。しかも結果が出ないから、強引さも目立つ。まさに"負のスパイラル"に陥ってしまったと言える。

【右肩が入りすぎる打撃フォーム】

 では、芯でとらえられない原因は何か。私が気になっているのは、右肩が入りすぎているという点だ。たとえばテレビ観戦をしていて、彼の背番号「55」の数字がはっきりと見えることはないだろうか。

 記憶の限りではあるが、彼の好調時はもう少しスクエアに立っていたはずだ。背番号が見えたとしても「55」の1ケタだけで、両方見えることはほとんどなかった。これは明らかに外角の球に対応するための構えである。

 ただ、この構えだと内角を攻められたら脆(もろ)いという欠点がある。しかも構えが変わったことで、これまでとボールの見え方も違ってくる。今シーズン、何度か審判のストライク判定に「えっ、そこをとるの?」といった表情を見たことがあったが、本人にしてみればボールに見えているのだろう。

 言い換えれば、昨年きっちりしていた彼のヒッティングゾーンが、構えを変えたことで狂いが生じている。それではミスショットが増え、仕留めようにも仕留められない。打球が上がらないのも、しっかり自分のポイントでとらえられていないためである。

 個人的には、このほかにも懸念材料がある。まず、昨シーズン終盤にスランプに陥った時期があったが、その時のことを整理できているかどうかだ。打者にとって重要なことは、打ったことよりもどのようにして打ちとられたかを理解することだ。

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