ホームランに比べて華はないけど、チームへの貢献度は抜群 田中幸雄が語る「二塁打の価値」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

【二塁打のチーム貢献度】

── 通算二塁打数の上位30位までの選手は、2000本安打達成者です。

田中 安打数が多いということは、当然、二塁打の数も多くなります。ただ二塁打は、ホームラン打者、足の速い選手など、さまざまなタイプの選手が打っているのが特徴です。チャンスメイクする打者、ポイントゲッターとなる打者の両方に多いのが二塁打なのだと思います。

── 田中さんは坂本選手と同じ右打者の遊撃手という共通点があります。

田中 ともに中距離ヒッターで、いろいろな打順を経験したという点では同じかもしれません。右打者は左打者よりもスタートで2、3歩ほど多く要しますので、どうしてもベース到達が遅くなる。とくに私は足が速いほうではなかったので、三塁打性のあたりが二塁打になったこともよくありました。また、当時は本拠地が東京ドームだったことも、二塁打が多かったひとつの要因かもしれないですね。

── さらに盗塁数もあまり多くないという部分でも似ています。

田中 盗塁についてはチーム事情もありますし、打順によっても大きく変わってきますので一概には言えませんが、積極的に走るタイプでないのはたしかです。昨年、規定打席に到達したなかで、二塁打を30本以上放ちながら盗塁1ケタの選手は5人いました。私も現役時代、それを3度記録したことがありますが、盗塁に積極的ではなかった分、二塁打が多いというのは、自分としてはよかったと思っています。

── 坂本選手には「打率3割で二塁打10本の打者」と「打率2割8分で二塁打30本の打者」は同等の価値がある、という持論があるという話を聞いたことがあります。

田中 二塁打はバントで送ってアウト1つを献上しなくても、得点圏に進めるわけですから、チームへの貢献度は高いと思います。たとえば先頭打者が二塁打で出塁すると、いろんな作戦が考えられるし、得点の可能性も高くなる。ホームランに比べて華やかさはないですが、二塁打は価値のあるものだと思います。坂本選手には、立浪和義さんの記録を抜くつもりで頑張ってほしいですね。

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