DeNAルーキー・松尾汐恩が語るバウアー体験記「フォーシームは圧を感じるし、スライダーは見たこともない変化をする」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Sankei Visual

「思っていたイメージとまったく違って、すごく気さくな人柄で話しやすかったですね。本当、最初自分から話しかけるのはちょっと怖いなって思ったんですけど、キャッチャーですからここは話しかけなきゃって。自分から行くとバウアーは受け入れてくれて、いろいろ気楽に話せるようになりました」

 ところで、松尾は英語力のほうはどうなのだろうか?

「いや苦手ですね。全然ダメです(苦笑)。今は通訳さんの手を借りる感じなので、今後はちゃんと自分の言葉でコミュニケーションをとれるように勉強していきたいと思います」

 松尾は4月22日の楽天戦(平塚)と28日のロッテ戦(横須賀)でバウアーとバッテリーを組んだ。バウアーは一軍登板に向けまだ調整段階だったが、それでも強度の高いフォーシームをはじめ、カットボール、スライダー、ツーシーム、そしてスプリットチェンジなど松尾は世界クラスの球質を味わった。どのボールもよくコントロールされた一級品だったが、それよりも松尾が感銘を受けたのが、バウアーの理にかなった投球術だ。

「すべてのボールに意図があると感じました。とにかくバッターの様子をよく見ながら投げているなって。たとえば自分が『突っ込む時はこういう配球』と思っていても、首を振ってきて、自分の頭にはまったくない配球だったこともありました。その後、『あの時の意図はこうだった』と伝えてくれて、勉強になることがすごく多かったですね」

 そう語る松尾ではあるが、バウアーに対し打者が2巡目、3巡目になっていく状況で、内外の攻め方を変えることを提言するなど、積極的に自分の考えを伝えコミュニケーションをとっていった。バウアーは松尾について次のように評価している。

「いいコンビネーションでやれたし、すばらしいキャッチャーだと思いました。彼はバッターの反応をしっかり見ることができますし、前の対戦ではどういう状況だったかをよく記憶して、それを前提としたいいリードをしてくれる。また相手チームが今なにを仕掛けようとしているのか、よく読めている感じもあって、本当にいい仕事をしてくれたと思います」

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