プロ22年目、西武・中村剛也を突き動かす「もうちょっと野球がうまくなりたい」の思い (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Koike Yoshihiro

【史上9人目の500本塁打も視野】

 中村剛也の真髄を目の当たりにし、どうしても聞きたいことがあった。「もうちょっと野球がうまくなりたい」というモチベーションについてだ。

 3連戦を終えたあと、1対1で話を聞くチャンスが訪れた。心の内を知るべく、ストレートに聞いた。「もうちょっと野球がうまくなりたい」という思いは、野球を始めた頃から今まで変わらないものか、それとも膨らんでいるのか。

「年々、膨らんでいるかもしれないですね。ここ最近、ピッチャーの投げる球も速くなっているし、いろんな球種もあるので、うまくならないと対応できないし。そういうことを思っていますね」

 中村に限らず、キャリアを重ねた選手が語られる際には、入団年数や年齢がついて回る。活躍すれば「ベテランの星」と称えられる一方、打てなければ「年齢が要因」と指摘される。そうした周囲の固定概念に、抗ってやるという気持ちはあるのだろうか。

「結果が出なかったら、そう言われるし。結果が出ていたら、そういうふうに言われないし。ましてや去年、あまりよくなかったし、そういうふうに見られると思うんですけど。なんて言うんですかね。抗う......。でも、それに近いかもしれないですね。いつでも、毎年、毎年やってやろうと思っていますけどね」

 中村は今季、まもなく2000試合出場に到達する。通算500本塁打も視界に捉える大記録だ。

 数々の金字塔を打ち立ててきた中村はもしかして今、長いキャリアで全盛期にいるのかもしれない。「もうちょっと野球がうまりなりたい」と言うホームランアーティストは、そう思わせるくらい、すさまじい打棒を発揮している。

プロフィール

  • 中島大輔

    中島大輔 (なかじま・だいすけ)

    2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。

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