西武・平良海馬も通うアスリートの成長を支援するハイパフォーマンスセンター「ネクストベース・アスリートラボ」に潜入してきた! (2ページ目)
「たとえばプロ野球選手などは、シーズンが終わってからすぐに来てもらい、計測してそれぞれのカルテをつくります。そこで課題をあぶり出したり、目指すゴールを決めたうえで、個々人に適したトレーニングの提案を行なって、その流れのなかで春季キャンプやレギュラーシーズンに臨まれます」
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【データ活用によるパフォーマンスアップ】
取材に訪れた日には、高校球児が施設を訪れていた。体の40カ所以上にマーカーをつけて、実際にスイングする。モニターに映った点と線で表示されるスイングの動きを確認。骨盤や体幹、そしてボールの伝達効率など、さまざまな項目について現状を伝えられ、アドバイスを受けていた。
それぞれに数値化、あるいは可視化することで課題が浮き彫りになり、その後の練習方法やトレーニング方法が明確になる。または、故障リスクを軽減することにも役立つ。メリットの大きさを感じたものだ。
また、投手には球質向上のサポートとして「ピッチデザイン」というプログラムがある。ラプソードとハイスピードカメラを用いて投げたボールの球質測定やリリース時の動画を撮影し、アナリストとの対話を通じて、自分の感覚と客観的なデータを擦り合わせるものだ。
目的としては、打者を効果的に抑えるための球質改善、新球種の開発、持ち球を効果的に生かすための配球戦略。アメリカのドライブライン・ベースボールも実施しているものだが、ネクストベース・アスリートラボでは、それを日本球界にマッチした独自のサービスとして提供している。
データの活用による選手のパフォーマンスアップやアスリートとしての飛躍、さらにチーム強化につながるものが詰まった施設。トッププロから子どもたちまでが利用できるネクストベース・アスリートラボには、日本のスポーツ界を大きく変える可能性が秘められている。
著者プロフィール
佐々木亨 (ささき・とおる)
スポーツライター。1974年岩手県生まれ。雑誌編集者を経て独立。著書に『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社文庫)、『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボールマガジン社)、共著に『横浜vs.PL学園 松坂大輔と戦った男たちは今』(朝日文庫)などがある。
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