ヤクルト守備陣を支える名ノッカーたち 村上宗隆のひと言で森岡コーチは「スイッチノッカー」を目指す (4ページ目)
試合より難しい打球を打つようになったのは、2004年からだと河田コーチは言う。どう打てばどんな打球になるのか、選手と一緒になって練習してきた。
「打つ時にバットの角度やトスの位置を変えてみるとか。それだけでバットの入る位置が違ってくるし、芯を叩くのか、下っ面を叩くのかによっても変わってくる。ボールって正直だから、いろいろ変えることでいろんな打球がいくんだよね。自分も打球に教えてもらっている感じかな」
そして河田コーチはスワローズ外野陣には「守りではあるけど、攻める気持ちでやってほしい」と語る。
「打ちとったと思う打球は確実にアウトにしてほしい。とくに前の打球に対しては、攻める気持ちがないとチャージが遅くなってしまう。強い気持ちを持って前の打球をしっかり捕ることについては、青木にもミンゴ(ドミンゴ・サンタナ)にも言っています」
【キャンプを盛り上げたシートノック】
奥村展征はキャンプ期間中のシートノックで、内野の全ポジションを守った。
「僕はノックを地道な作業とは考えていなくて、毎回打球は違いますし、同じ打球がきても同じ入り方をするのは難しいことです。自分で感じなかったことをコーチから『今ちょっと違ったな』と指摘してもらったり、一球一球に意味があると思っています。ノックって、見ている人には「長いなぁ」というイメージがあるかもしれませんが、僕はそういう感覚はないですね」
今年の浦添キャンプで、ひとつの見どころとなったのが午前中のシートノックだった。選手たちのキビキビした動きと活気あふれる声。締めは奥村がキャッチャー方向めがけてダイビングトスキャッチ。起き上がる際に奇声を発すると、スタンドは大きな拍手と笑い声に包まれた。
奥村は森岡コーチのノックについてこう語る。
「気持ちを込めて打ってくれていることが伝わってくるので、ありがたいなと。ただ熱く打つのではなく、どういう意図で打ってくるのかもわかる気がします。僕が言うことじゃないと思うんですけど、ノックが緻密というか、コーチになったばかりの頃とは全然違うなと(笑)。
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