【高木豊のセ・リーグ順位予想】阪神の投手陣は「文句なし」Bクラス予想の巨人は「坂本勇人を再生させられるか」 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

――岡林勇希選手もそうですが、中日には走れる選手が揃ってきている印象があります。

高木 そうなんです。岡林や大島洋平、(土田)龍空も走れますし、(アリスティデス・)アキーノも足を使おうと思えば使えます。攻撃のバリエーションが増えますよね。

 昨シーズンは、微妙なところに飛んだ打球を長打にできない、塁に出ても走れずにランナーを返せない、といったことが多かったですけど、得点能力が上がるだろう打線を組めるようになってきていています。昨シーズンはイマイチだった(ダヤン・)ビシエドも、オープン戦では本塁打こそなかったものの尻に火がついたように見えますし、打線は面白いと思います。

――ピッチャー陣はどうでしょうか。今年は小笠原慎之介投手が開幕投手を務めます。

高木 いつまでも大野雄大に頼るわけにはいきませんし、小笠原を開幕投手に指名したのは正解だと思います。中日は先発もリリーフもしっかりしていて、ピッチャー陣は安定感があります。ただ、バンテリンドームの時はいいけど、ビジターの球場ではちょっと打たれる傾向がある。そういったところを改善できるかですね。

【6位予想:広島】

――広島を6位と予想しましたが、どこが課題だと感じますか?

高木 秋山翔吾や西川龍馬、坂倉将吾など、技術が高いバッターはたくさんいますが、長打力に欠けるのでクリーンナップがバシッと組めません。(ライアン・)マクブルームや、新外国人の(マット・)デビッドソン次第になると思います。

 あと、坂倉がキャッチャー専任でプレーするのは今シーズンからになりますよね。これまで、60試合前後マスクをかぶったシーズンもありますが、正捕手として出場するのは初めて。そこがチームとしてメリットになるのか、デメリットになるのか。そのあたりがカギですね。

 やはり優勝するチームのキャッチャーは、ヤクルトの中村悠平など優秀ですから。坂倉がバッティング同様に、守備やリード面でも力を発揮できるかどうか注目です。

――ピッチャー陣では先発ローテーションの柱のひとり、森下暢仁投手が3月24日に実戦復帰したばかりです(昨秋、右肘のクリーニング手術を受けた)。

高木 森下には軸になってもらいたいですが、まだ投げ始めたばかりですし、シーズン序盤は他のピッチャーに頑張ってもらわないと。ただ、大瀬良大地は不安な部分があります。

――どのあたりが不安ですか?

高木 気持ちが少し弱い部分がありますよね。投げているボールはいいけど、大事な場面でちょっと引いてしまうというか、大胆にいけない。そういった部分では森下のほうが大胆に攻めていけます。

 ただ、問題は中継ぎです。昨シーズンにほぼ崩壊してしまった中継ぎ陣をどこまで立て直せるか。あと、栗林良吏は(3月24日のオープン戦で)復帰していましたが、今シーズンは勤続疲労の影響が出てくるんじゃないかと。安心して任せられるセットアッパーもなかなか見当たりませんし、ピッチャー陣をどうやりくりしていくかは大きな課題だと思います。

(パ・リーグ編:優勝候補ソフトバンクの「唯一の不安」は? 苦しいロッテは佐々木朗希をいかに勝たせるかがカギ>>)

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に解説したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

高木豊のYouTubeチャンネルはこちら>>

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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