アメリカではWBCよりもカレッジバスケット! それでもスタジアムは大観衆、初の地上波放送の大躍進 (3ページ目)

  • text by Saku Yanagawa
  • photo by Getty Images

【スタジアムは4万人超え】

 たしかにこの日、試合が行なわれたアリゾナのチェイス・フィールドは4万人を超す観客で埋め尽くされていた。

 試合のほうは、先発したカージナルスのベテラン右腕、アダム・ウェインライトが初回に先制ホームランを打たれると、「ほら、だから言ったろ! これだからセントルイスは......」と、アナさんにまたしても厳しいヤジが飛ぶ。

 すかさずアナさんも反撃。「今に見ていて。ノーラン(・アレナド)がなんとかするから」の言葉どおり、カージナルスのアレナドが3回に同点タイムリーを放つと、テレビの前で全員がハイタッチを交わし、乾杯が始まった。

 そして4回に、カブスに在籍したカイル・シュワーバーが3ランホームランを放つと、「ほら、カブスだってやれるんだ!」の声が飛ぶ。しかし、シュワーバーは現在フィラデルフィア・フィリーズでプレーしているが......そこはご愛嬌か。

 いずれにせよ、チームUSAが6対2で無事に勝利を収めると、「イギリスに勝った! 1776年の独立戦争以来だ!」という声とともに、店内揃っての「USAコール」で大団円を迎えた。

 最後に、ここにいたファンたちと「準決勝以降に会おう!」と固い握手を交わし、店をあとにした。

 まだアメリカでWBCが本格的に盛り上がっているとは言い難い。それでもスタジアムには多くの観客が入り、数試合だけだが地上波での放送もあるという。2006年の第1回大会に比べれば、かなりの前進だ。この先、アメリカが勝ち進めば、さらに盛り上がることは間違いないだろう。

プロフィール

  • Saku Yanagawa

    Saku Yanagawa (サク・ヤナガワ)

    アメリカ・シカゴを拠点にするスタンダップコメディアン。2021年経済誌『フォーブス』の選ぶ「世界を変える30歳以下の30人」に選出。年間50試合以上をスタジアムで観戦するほどのシカゴ・カブス・ファン。

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