初代キャスター・佐々木信也が語る『プロ野球ニュース』の舞台裏。「1回の出演料は?」「珍プレー好プレー誕生秘話」 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa

── 当時、この時間帯では日本テレビの『11PM』が視聴率トップをずっと独占していました。ジワジワと追いつめていく感じはあったのですか?

佐々木 ありましたね。視聴率は常時6〜8パーセントを叩き出し、週末には10パーセントを超えることもありました。さらに、「CMを打ちたい」というスポンサーが順番待ちをしていましたからね。うれしかったのは、当時日本テレビ系列で『11PM』を放送していた高知放送、山口放送がフジテレビの『プロ野球ニュース』を放送してくれるようになったこと。あれは本当にうれしかったですね。

【因縁の西本幸雄と共演】

── この番組の魅力は、全6試合すべてを平等に取り扱い、現地で取材をした個性豊かな解説者がその日のポイントを深掘りする点にありました。

佐々木 この番組にはいくつかの「決め事」がありました。たとえば、「12球団を満遍なく取り上げること」「通常の野球中継と同様に解説者を必ずつけること」「最初に試合結果を明かさないこと」「打球音や歓声など現場の音を生かすこと」などです。そのためにはフジテレビの誇るFNS系列の協力体制が不可欠になりますが、関西テレビ、東海テレビなど、各局がいずれも、この番組に誇りをもって取り組んでくれたことが、成功の大きな要因でした。

── この番組の魅力のひとつは「個性豊かな解説陣」にもありました。関根潤三さん、別所毅彦さん、土橋正幸さん、豊田泰光さんなど、それぞれの個性が際立っていました。

佐々木 関根さんの解説は味わい深かったですよね。豊田はビシッと自分の意見を言えるタイプで、彼の発言は目を見張るものがありました。別所さんも土橋も、それぞれ自分らしさを持っていて、解説陣の競演も番組の魅力のひとつでした。

── そして、この番組では「因縁の」西本幸雄さんと共演することになりました。前編で触れたように、佐々木さんを自由契約とすることを決めたのが「西本監督」でした。

佐々木 まさか、そんなことになるとは思っていなかったですよね(笑)。この番組が始まる以前、大阪のラジオに出た時に「誰かひとりゲストを呼んでいいですよ」と言われたので、私は西本さんを指名しました。そして、3時間半の生放送中ずっと、「どうして私をクビにしたんですか?」って噛みついたんです。西本さんは困っていたよね(笑)。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る