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1年生開幕投手・斎藤佑樹が衝撃の神宮デビュー。初登板初勝利も「大学野球のレベルの高さを痛感させられた」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 東京六大学で投げるピッチャーにとって「土曜日」という言葉は特別です。土曜日、つまり1回戦はエースが投げる試合です。もし日曜日の2回戦で負けても、月曜日の3回戦になればまたエースでリベンジできる。エースは土曜と月曜の2度、勝てるチャンスがあるんです。東京六大学の通算勝利数の最多記録は(1966年〜69年に打ち立てた)法政の山中正竹さんが持っている48勝です。

 この数字はつまり、1年あたり12勝、春と秋に6勝ずつがノルマになる。対戦する相手は5校ですから、最低でも1カード、どこかの大学との対戦では2勝するというシーズンを、4年間、ずっと続けなければ届かない。

 じつは僕、大学に入った時には、無謀ながらこの数字を超えたい、案外、いけるんじゃないか、なんて思っていたんです。先発した試合で全部に勝って5勝、それを春秋と4年続ければ40勝だから、それに加えていくつか月曜日に勝てば、超える可能性はあるんじゃないかと......でも、1年の春にリーグ戦を戦ってみて、「そんなの絶対に無理じゃん」と思いましたね。山中さんはいったいどんなピッチングをしてそんな数字になったのか、ホント、恐ろしい数字です。

【怒涛の開幕8連勝】

 日曜の法政との2回戦に先発した僕は、立ち上がりに1点をとられましたが、その後は7回までゼロに抑えて(91球、被安打4、与四球1、奪三振7、失点1)2勝目を挙げることができました。東大戦よりもたくさんのお客さんが来てくれたと聞かされて(2万8000人)、それはありがたいことでしたが、僕としては(前年の)あの夏の甲子園の盛り上がりを見てきましたし、その前の神宮を知らないので、そんなにすごいのかなと正直、実感できずにいたんです。

 それでも大学1年の僕としては、そういう空気に合わせないといけない(笑)。周りが「盛り上がってますね」と言ってくれれば、「いやぁ、すごいですね」と言うしかないわけです。ただ、大学の応援団はホントにすごいなと思っていました。高校の時もすごかったけど、大学は規模が違います。応援団と吹奏楽と、あとはチアもいて、しかも相手の大学との応援合戦がある。あれは神宮ならではの盛り上がりだなと思いましたね。

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