1年生開幕投手・斎藤佑樹が衝撃の神宮デビュー。初登板初勝利も「大学野球のレベルの高さを痛感させられた」 (2ページ目)
周りからは「法政と明治を抑えたら本物だ」みたいな言われ方をしていたんですが、僕のなかでは東大も法政も明治も一緒でした。大学野球は大人の野球だというイメージがありましたから、そういうくくりのなかで自分のピッチングをしたら果たしてどうなるのか。そこに関しては、開幕戦で東大を抑えることができて、打線も打ってくれて、勝てた(8対0)。ああ、今の自分にも大学野球で勝つチャンスはあるんだなと、初登板初勝利のおかげで少しだけ自信になったような気がしていました。
神宮は高校時代に何度も投げた球場でしたが、大学で立ったマウンドは感じが違いました。日大三高との決勝とか神宮大会とか、高校の時の神宮球場って勝利を積み重ねていかないとたどり着けない場所じゃないですか。だから疲れた状態で投げる印象しかなかったんですが、大学では開幕戦ですから心身ともにフレッシュです。しかも身体が軽く感じたほどでしたから、最初、マウンドの感覚をつかむのが難しかった。力加減がわからなかったんです。だから慣れた球場という感じではありませんでしたね。
【土曜日に登板する意味】
開幕の東大戦は土曜日(1回戦)でしたが、法政戦は日曜日(2回戦)の先発でした。土曜日の法政には2つ上の須田(幸太)さんが先発して、無四球の完封勝ち。そこは「あぁ、やっぱりそういうことなんだろうな」と思いました。僕はまだ、基本は土曜日じゃなくて日曜日に投げる実力なんだなと......1年生ですから、当たり前の話です。開幕投手を僕に決めたのは、應武(篤良)監督のなかでは3年の須田さん、2年の松下(建太)さんに火をつける感覚だったんじゃないかと思います。
それは應武流の「1年生に負けんじゃねえぞ」という上級生へのメッセージだったんでしょう。僕に開幕を託して、でも2カード目からは土曜日に須田さんを送り出すことは開幕前から決めていたんじゃないかな......。
なぜそう思ったのかというと、開幕前のミーティングの時に監督が4年生の先輩たちに「おまえらは谷間の世代だ」と檄を飛ばしていたからです。さらにその上の世代にはすごいピッチャーがたくさんいて、須田さんたちの代は下級生の時、ほとんど投げるチャンスがなかった。「おまえらは最弱の世代だ、それをちゃんと理解しろ」と言われていました。だから僕の開幕投手もその代の先輩たちへの刺激のひとつだったんだろうなと思ったんです。
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