群馬しか知らなかった人見知り少年が侍ジャパン相手にも堂々。井上温大が目指す巨人の左腕エースへの道

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

【念願のプロ初登板】

 いつしか、井上のストレートは150キロ近くを計測するまでスピードアップしていた。そんな進化が認められ、井上は7月11日に再び支配下登録を勝ちとる。背番号は「97」に変わった。

 その5日後、井上はプロ初登板を迎える。4回までに0対11と広島に大量リードを許した試合の敗戦処理ではあったが、井上は4万389人の大観衆が見守るなか、東京ドームのマウンドに立った。

── プロ初登板のマウンドからは、どんな景色が見えましたか?

井上 よく「頭が真っ白になる」って言いますけど、あの時は本当にそんな感じでした。なんていうか、お客さんのいる観客席がのしかかってくるような感じがあって。あの時が一番緊張しました。

── 結果的には3イニングを投げて、1安打無失点と上々のデビューを飾っています。

井上 先頭バッターが森下さん(暢仁)で、いきなり3球連続ボールだったんです。あのままフォアボールを出していたら、ワンアウトもとれずに終わっていたかもしれません。最後は(点差が離れていたため)わざとみたいな三振だったんですけど(笑)、アウトをとれたことで安心して投げられました。

── 高校時代は「指にかかったストレートを打たれたことがない」と語っていました。プロでもその自信は変わらず持ち続けていますか?

井上 いや、打たれましたね(笑)。

── 「この球が打たれるか?」と印象的だった試合があれば、教えてください。

井上 3回あります。

── 3回もですか?(笑)

井上 横浜スタジアムで宮?さん(敏郎/DeNA)にレフトスタンドに打たれたやつと、京セラドームでオスナ(ヤクルト)に上段まで飛ばされたやつ、あと東京ドームで先発した時に大田泰示さん(DeNA)にインハイをレフト線に持っていかれたやつです。

── スラスラと出てきますね(笑)。それだけ驚きだったというか、悔しかった?

井上 そうですね。

 一軍のレベルに戸惑いながらも、井上は2022年シーズンに7試合に登板。終盤の4試合は先発起用され、最後の登板となった9月23の中日戦(バンテリンドーム)では6回3失点と好投。プロ初勝利をマークした。

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