大谷翔平は侍ジャパンで何番を打たせるべきか? 名打撃コーチに聞く「最強打線」のつくり方 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kikuchi Koichi
  • photo by Taguchi Yukihito

 国際大会を見ていて感じることだが、メジャーを筆頭とした海外の投手はテイクバックが小さくタイミングがとりづらい。それでいて球威があるから差し込まれてしまう。おそらく海外の投手に慣れていない日本人選手の多くは苦労すると思うが、牧はしっかりボールを引きつけながらも、ポンとバットが出て逆方向に打てるタイプだ。

 こういうバッティングができる選手はチームにとってものすごく貴重で、個人的には牧を2番に据えたほうがつながりはいいのではないかと思っている。大谷、村上をあえて分断するという考えもあるが、彼らが並ぶほうがより相手にとって脅威となるはずだし、大谷と勝負をせざるを得ない状況も増えるだろう。

 当然、大谷、村上は左打者だから、5番はどうしても右打者が必要となる。タイプ的には山川穂高(西武)のような長距離打者がいい。そして6番に森友哉(オリックス)、7番に山田......。

 ちなみに、1番は相手投手との兼ね合いや状態の善し悪しで近本光司(阪神)、塩見泰隆(ヤクルト)らを使い分け、8番、9番に源田壮亮(西武)、近藤健介(日本ハム)あたりが入れば、より厚みが増すのではないか。

短期決戦の鉄則は固定しないこと

 ただ、短期決戦で勝ち抜くために重要なことは、"固めすぎない"ことだ。ジャパンのような選抜チームには、ベストオーダーというものは存在しないと思っている。要は、選手の好不調を探りながら、試合ごとにオーダーを変えてもいいということだ。これがシーズンを戦うペナントレースと大きく異なる点だ。

 シーズンなら、多少目をつぶってでも育てるべき選手を我慢して使い続けることもあるし、調子を落としている実績ある打者の状態が上向くまで待つということもある。だが、短期決戦ではそんなことをしている余裕はない。ひとつの判断ミス、決断の遅れが命とりになってしまう。とはいえ一戦の重みが増すほど、監督は決断を恐れ、つい打つ手が遅れてしまうものだ。

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