ヤクルト髙津臣吾監督に出てきた厳しさと落ち着き。OB八重樫幸雄が語った「恩師」野村克也との共通点と違い
「オープン球話」連載第104回
2022年のヤクルトと髙津采配総括
リーグ連覇を果たした髙津監督(中央)とヤクルトナインこの記事に関連する写真を見る
2022年の髙津ヤクルトは厳しさが増した
――2022年ペナントレース、八重樫さんの古巣である東京ヤクルトスワローズはセ・リーグ2連覇を達成しました。今年の「髙津ヤクルト」はどうご覧になりましたか?
八重樫 昨年までと大きく違っていたのが、「髙津采配」だったと思います。少し厳しくなった印象がありますね。昨年までは選手に対して甘い部分もあったけど、今年はちょこちょこ厳しいところが出てきていたんじゃないかと。選手の使い方にしても、交代させるのが早かったです。
――その「厳しさ」というのは、選手起用でいうとどういうことですか。
八重樫 普通だったら、スタメンで起用した野手は、よっぽどのことがない限りフルで出ると思うんですよ。昨年まではそうでした。でも、今年はチャンスの場面じゃない、走者のいない場面でも代えるときがあったんです。冷静に振り返ってみると、交代になった選手はその前に、走塁や守備など何かしらミスをしているんですよ。そういう点は厳しくなってきたんじゃないかな。
――途中交代が昨年より増え、振り返るとその前にミスがあった。懲罰とまでは言わないけれど、少し「締める」という意図があったのでしょうか?
八重樫 そうですね。髙津監督がベンチにいる姿を見ても、「昨年よりもすごく厳しい顔をしてるな」と感じていました。そういうところに厳しさが出ていたのが選手にも伝わって、試合での全力プレーにつながってチームが強くなったんじゃないですかね。
――かつての広岡達朗氏、野村克也氏は厳しい監督で、真中満氏、若松勉氏は優しい監督だと八重樫さんは話していましたが、髙津監督は少し「広岡、野村監督寄り」になっているということですね。それはいい傾向でしょうか?
八重樫 僕の考えとしては、すごくいいことじゃないかなと思います。今の若い選手たちは指導者に厳しく言われていないことが多いですから。もちろん、ヤクルトの選手たちも手を抜いたり、怠慢プレーをしたりすることはないけれども、少し気持ちが緩むところはあると思うんですよ。
でも、今年の髙津采配を見ていると、チラチラと厳しい面を出しているので、選手も気が引き締まったんでしょう。選手にコロナ患者がたくさん出ても、新しい選手が一軍に上がってきたらすぐに試合に起用していましたし、入れ替わった選手も相当に刺激を受けていたと思いますよ。
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