「オリックス・山本由伸の異変」を建山義紀が解説。ヤクルトはなぜ投手四冠の絶対エースから4点も奪えたのか (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 投球フォームについて言うと、トップが間に合っていなかった。いつもなら体重移動をしっかりしながら、頭のうしろに右手がきて、トップの形ができるまで投げずに待てるのが山本投手のフォームの特徴です。

 しかし、おそらく神宮のマウンドの形状による影響だと思いますが、左足が早く着いてしまい、トップが間に合わない状態で投げていました。そのため腕が横ぶりになり、シュート回転や抜けるボールが増えてしまう。そういう状態が降板するまで続いていました。

 ピッチャーからすると、神宮のマウンドは傾斜がなく、平地で投げているように感じます。ほかの球場だと「マウンドの傾斜はピッチャーが低めに投げるためのもの」と思うくらいの感覚があって、傾斜に沿って投げれば低めにいくんです。でも、神宮のマウンドはそれがない。

 ふだんから投げているピッチャーなら対応できると思うのですが、山本投手にとって4年ぶりの神宮での登板でした。とはいえ、山本投手が持っている力を考えると、そういう環境面もアジャストしてくると思っていましたが、鬼門になりましたね。

オリックスのカギは5番打者

 スワローズ打線では塩見選手、オスナ選手がホームランを含む3安打。バファローズからすると2戦目以降、単純に抑えるというより、"崩しにいく作業"が絶対必要になってきます。"崩す投球"というのは、インコースを意識させるのがひとつの手です。

 そういった意味では、塩見選手はインコース甘めのストレートをホームランにしました。オスナ選手はいずれも外寄りのカーブとカットボールを打っています。2戦目以降、いかにバファローズ投手陣が厳しくインコースを攻められるかがポイントになります。

 またスワローズにとって大きかったのは、2番手以降の木澤尚文、田口麗斗、清水昇、スコット・マクガフの4投手が初戦で登板できたことです。

 木澤投手は先頭打者をストレートの四球で歩かせましたが、ゼロに抑えたことで次の登板は落ち着いて挑めるはずです。先発投手陣がやや不安なスワローズにとって、救援陣の働きはものすごく重要になってきます。

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