オリックス1年目のイチローは、伊良部秀輝のストレートに「速さを感じない」。松永浩美が振り返るレジェンドの原点 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――イチローさんの性格面の印象は?

松永 どちらかといえば、楽観的なタイプです。だから、常に前向きに考えることができたんだと思います。あと、「イメージを作る」ことに長けていましたね。やはりイメージが作れないと、スポーツの世界では絶対に通用しないです。

――イメージとは、動きのことですか?

松永 打つイメージ、走るイメージ、捕るイメージ、ランナーで出た時にはホームに帰ってくるイメージ......。すべての動作、場面でイメージができていたと思います。私も現役の時は、自分の打球が大体あのあたりに飛ぶ、こういう走塁をする、次のヒットで帰ってくる、といったイメージを常に持ってプレーしていました。

 たとえば、私がサードを守っている時にボテボテのゴロがきたとします。ダッシュしていって、ちょっと上体を前屈させて捕って、そのままファーストに投げてアウトにしますよね。見ている人にとってはワンプレーなのですが、私のなかでは今言ったすべての動作のイメージができあがっているんです。

 イチローもそういう考え方をおそらく持っていたはずですし、だからこそ一気にスター選手に上りつめていったんだと思います。イチローが一軍で活躍し始めた頃、塁審によく言われましたよ。「すごい選手が出てきたな。イチローは第二のマツやないか」って。走・攻・守三拍子が揃っていることからそう言ってくれたんだと思います。ただイチローは、私をあっという間に、はるかに超えていきましたけどね(笑)。

(後編:成長曲線は予想以上。それでも「メジャーでは苦戦する」と思っていた理由と、成功の要因>>)

◆松永浩美さんのYouTubeチャンネル「松永浩美チャンネル」

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