村上宗隆は「僕の監督時代に入団してほしかった」。真中満が見抜いた三冠王の進化と印象的だった人間性 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

選球眼が格段に向上した理由

ーー昨年までと比べて、技術的な進化、変化は見られますか?

 技術論で言えば、選球眼が格段に向上したことが大きいと思いますね。今シーズンの終盤にもそういう傾向は見られたけど、これまではどうしてもボール球を追いかけてしまう場面がありました。

 でも今年はそれがあまり見られなくなって、自分の打つべきボールをきちんとチョイスできています。それが最初に言った「冷静さ」ともつながってくるんだけど、冷静にボールを見極めて、ホームランにしたり、ヒットにしたり、うまく打ち分けていましたよね。

ーー選球眼というのは、練習によって向上したりするものなのですか?

 練習ではなかなか難しいと思いますね。大切なのは「実戦における目付け」だと思うんですね。巨人の大勢からレフトにホームランを打ちましたよね。

ーー9月13日、神宮球場で行なわれた対読売ジャイアンツ戦。9回裏に大勢投手から放った、今季55号ですね。

 そうそう。あのホームランは完全にインコースを捨てて、最初から「アウトコースをレフトに打とう」とした一発だったと思うんです。決して、天才的な「反応」で打ったホームランじゃなかった。

 今年の村上は打席の中での狙い球の絞り方が本当にうまくなりました。インコース攻めが続く時には、初球からインコースを狙ってホームランを打ったこともありました。その点も「冷静さ」の表れだと思いますね。でも、もしも実際のところは「反応」で打ったんだとしたら、村上に謝っておいて(笑)。

ーーこうした「冷静さ」によって、結果的に選球眼もよくなってホームラン数だけではなく、打率も向上したというわけなんですね。

 ホームラン記録がかかったシーズン終盤には、なかなか結果が出なかったけど、それでも僕から見れば打撃フォームはそんなに崩れていないと思っていたし、今年の村上はやっぱり格別でしたよ。

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