真中満が選ぶヤクルトリーグ連覇の "陰のMVP"は? 「ヤクルトの強さは本物」だが、CSは「阪神が不気味」
真中満インタビュー前編
「ヤクルト・リーグ連覇」
29年ぶりにリーグ連覇を果たした東京ヤクルトスワローズ。自身も監督としてヤクルトを優勝に導いた経験がある野球解説者の真中満氏に今季の戦いぶりを振り返ってもらった。真中氏が挙げるリーグ連覇の要因や、MVPは? そしてヤクルトがクライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち抜くためのポイントとは?
リーグ2連覇を達成したヤクルトナイン photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る
チームの「総合力」でつかんだセ・リーグ連覇
ーー長かった2022年ペナントレースもついに終了。セ・リーグではヤクルトがリーグ連覇を果たしました! この1年間をどう振り返りますか?
真中満(以下、同) 村上宗隆という別格の存在はあったけれど、それ以外の選手たちがみな一丸となってチーム全体で戦った末のリーグ連覇という気がします。打撃陣を見ても、3割を打ったのは村上だけで、それ以外は突出した成績を残したバッターはいなかったですよね。
投手陣を見ても、規定投球回数に達したのは小川泰弘だけ。昨年に続いて2ケタ勝利をマークしたピッチャーもいない。そんななかで、チーム全員の総合力でつかんだ優勝という気がしますね。
ーー真中さんも2015年に優勝監督となり、「連覇」の難しさを痛感していると思いますが、それが可能になったのはどうしてでしょう?
ざっくりした言い方になるけど、やっぱりバランスがよかったと思いますよ。投打のバランス、ベテランと若手のバランス。打線は村上を軸としてつながりがあるし、投手は中継ぎ陣が踏ん張ってみんなで勝利をものにしていったし、それがさっき言った「チーム全員の総合力」ということだと思います。
元ヤクルト監督でプロ野球解説者の真中満氏 photo by Igarashi Kazuhiroこの記事に関連する写真を見るーー開幕直後は一進一退の戦いが続きましたが、交流戦直前くらいから一気に加速していった感があります。前半戦の快進撃の要因はどこにあったと思いますか?
開幕早々、阪神が大型連敗でスタートダッシュに遅れてしまった。巨人は新人を含めた若手投手の「プロ入り初勝利」が目立ったけれど、逆に言えば菅野智之を筆頭に、軸となる存在が出遅れた。こうしたなかで、ヤクルトが去年日本一になった経験を活かした戦い方で勝利を重ねていった。取れるゲームはしっかりモノにして取りこぼしをしなかった。そんな印象がありますね。
ーーシーズン前半戦は、中継ぎ陣の奮闘が特に目立ちましたね。
昨シーズン後半に活躍した奥川恭伸が早々にコンディション不良で離脱をして、昨年台頭した高橋奎二も、シーズン中盤、後半はコロナの影響で離脱をしました。昨年の日本シリーズ第1戦、第2戦を託されたピッチャーが機能しないなかで、木澤尚文、小澤怜史たちが台頭してきたのも大きかったですね。
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