五十嵐亮太がパ・リーグで飛躍を期待する選手たち。「野球の神様」から贈りものをもらった投手、清宮幸太郎の今後も語った (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

飛躍のきっかけをつかんだ6年目の右腕

――どの投手でしょうか?

五十嵐 プロ6年目なので、「注目の若手」と言っていいのかどうかわからないけど、楽天の藤平尚真投手です。期待されて、横浜高校からドラフト1位で入団したけど、なかなか結果が出ずに昨年はプロ入り初の一軍登板ナシ。背水の陣で臨んだであろう今シーズンに挙げた1勝は、すごく印象に残っています。

――8月21日に5回1/3を投げて、2018年以来の勝利投手となりました。苦労の末の勝利という点は印象的ですね。

五十嵐 もちろん、それもあるんですけど、彼は今シーズンの途中からチェンジアップを投げ始めたんです。このボールがすごくよくて、カウントを稼ぐことも決め球にすることもできるようになった。新しい球種を覚えて結果が出ると、ピッチャーは急に見える景色が変わることがあるんですよ。

――「見える景色が変わる」とはどういうことでしょうか?

五十嵐 新しい球種が「これ、使えるぞ」となると、その先に待つ希望とか喜びがすごく大きいんです。相手もこれから研究してくるから、あのチェンジアップが今後も使えるのかどうかはまだわかりません。それでも長く苦労してきた藤平投手にとっては、これから飛躍するためのきっかけになる気がします。

――五十嵐さんも現役時代、「景色が変わった瞬間」があったんですか?

五十嵐 僕の場合は、アメリカから帰ってきたあとに武器となったナックルカーブですね。このボールをマスターしたことで自分の可能性が広がりました。そういったボールは、苦しみながらも、きちんと野球に取り組んできたことを見ていてくれた"野球の神様"からの贈りものだと思うんです。それをきちんと生かせるかどうかは選手次第ですが、藤平投手もひとまず結果が出ましたから、これを機に大成してほしいですね。

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