田澤純一、高木勇人...日本人選手がシーズン途中で次々と戦力外に。意外に厳しいメキシカンリーグの現実

  • 阿佐智●文・写真 text & photo Asa Satoshi

 田澤は2016年限りでレッドソックスを退団後、フロリダ・マーリンズ、ロサンゼルス・エンゼルスで2018年までメジャーのマウンドに立ったが、翌年はマイナー暮らし。その後、日本に帰国したが、田澤をドラフト指名しようとするNPB球団はなく、2020年はルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズでプレー。昨年は台湾プロ野球の味全ドラゴンズで4勝30セーブを挙げたものの、シーズン後にリリース。今シーズン開幕当初は所属球団が決まっていなかったが、5月初めにドゥランゴと契約しメキシコに渡った。

 しかし、メジャーの舞台から3年も遠ざかっていた36歳のベテラン右腕が通用するほど、メキシカンリーグは甘くはなかった。13度のリリーフ登板で2勝3セーブを挙げたが、大量失点を許す機会が多かったのだろう。防御率14.92ではブルペンを任せることはできず、シーズンをまっとうすることはできなかった。

シーズンをまっとうしたのは乙坂智だけ

 5月に田澤が入団した際、入れ替わるようにドゥランゴを去ったのは福永だ。高校でドロップアウトしながらも、独立リーグからドラフト6位で阪神入団を果たした苦労人だったが、阪神では在籍4シーズンで一軍登板は7試合のみ。昨年は台湾球界入りが決まりかけたが、コロナにより頓挫してしまい、古巣の徳島インディゴソックスでクローザーを務めた。

 今季はドゥランゴのキャンプに招待選手として参加。見事開幕ロースター入りして先発登板も果たし、防御率4.35と"打高投低"のメキシコでは優秀な数字だったのにも関わらず、ひと月も経たない間にリリースされてしまった。その直後、昨年中村が在籍したグアダラハラと契約したが、移籍後初登板で1イニング1失点に終わると、ここでメキシコを去ることになった。

 前出のテルドスラビッチがシーズンを過ごしたレオンには、今シーズン2人の日本人がプレーした。名門メキシコシティ・ディアブロスロッホスを開幕前にリリースされた乙坂は、レオンに移籍後、センターのレギュラーとして38試合で打率.361を残し、強豪サルティージョ・サラペロスに"栄転"することになった。

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