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田澤純一、高木勇人...日本人選手がシーズン途中で次々と戦力外に。意外に厳しいメキシカンリーグの現実 (5ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text & photo Asa Satoshi

広島、西武でプレーしたデュアンテ・ヒース(写真左)とヤクルトでプレーしたジョナサン・ハースト広島、西武でプレーしたデュアンテ・ヒース(写真左)とヤクルトでプレーしたジョナサン・ハーストこの記事に関連する写真を見る

元助っ人が語るメキシカンリーグ

「こっちはコンペティティブ(競争的)だからね」

 そうメキシカンリーグの特徴を語ってくれたのは、ジョナサン・ハーストだ。メジャーでは花開かなったものの、台湾で通算76勝を挙げ、2001年にはヤクルトのリリーフとしてプレーした。

 メキシカンリーグでも4シーズンを過ごし、現役引退後はニューヨーク・メッツのマイナーなどでコーチをしていたが、昨年冬にモンクローバ・アセレロスから若手主体の教育リーグの指導を依頼され、今シーズンからトップチームのコーチに就任している。

 ハーストは、メジャーやNPBで活躍した選手でもなかなかシーズンをまっとうできない理由について、このような見解を述べた。

「こっちでは、強い球団はチャンピオンを目指してシーズン途中からどんどん選手を入れ替えてくる。だから故障したり、ちょっとでも調子を落としたら即クビだからね」

 メキシコにはメジャーやNPBのような年単位の契約故障はない。報酬は月額で示されるが、支給は2週間ごと。つまり、この2週間単位でリリースのタイミングがやってくる。ハーストによれば、メキシコ人のベテラン選手はひと月単位の契約になるらしいが、日本人選手にそうした待遇は皆無である。

 2019年にメキシカンリーグでプレーした久保康友(元ロッテなど)は、メキシコ人の気質についてこう語る。

「日本でいくら実績を積んでいようが、メキシコ人はどんなヤツでも『自分たちのほうが上だ』という態度で臨んできますからね」

 片道5時間くらいなら当日にバスに揺られ敵地入りというのが当たり前の、日本よりもはるかに劣悪な環境や待遇は言い訳にならない。実力を発揮できるまでの猶予期間など与えられないというのが現実である。なにしろ、国内に複数のマイナーリーグを抱え、その下にはセミプロリーグも多数存在するほど、人材は豊富だ。

 そのうえ、夏季リーグのない中南米各国の選手もメキシカンリーグに集まってくる。シーズンでも、メジャーをはじめ、米球界からあぶれた強者たちがメキシコに押し寄せてくる。だから、メキシカンリーグを単純に"格下"とみなすことなどできないのである。

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