元審判員が語るプロ野球の裏話。「ブラウン監督の退場劇の真実」「メイクドラマの張本人は?」 (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

 余談ですが、死球に端を発した乱闘事件が極端に減ったのは、日本代表が全員プロ選手で結成された2004年のアテネ五輪以降です。それまではあまりほかのチームの選手と交流がなかったのが、それ以来、自主トレなどでも交流するようになって、死球も減っていったというわけです。

広島は伝統的に紳士球団

 まだ審判駆け出しの頃、当時は「野次るのが仕事」「声出しが戦力」といった選手やコーチがたくさんいました。俗に言う"野次将軍"です。その彼らは誰を野次るかと言えば、相手でも味方でもなく、審判なんです。

 若い頃はとにかく野次られました。「ストライク」と判定すれば野次られる、「ボール」と言っても野次られる。もう大変でした。〇木選手、金〇選手、平〇選手、〇野コーチ、〇上コーチ......。でも、広島は伝統的に無意味な野次のない紳士な球団でした。

 周囲の選手からは「気にしすぎですよ」と言われましたが、毎日グラウンドに立って野次られると、結構堪えるんです。それがいつの頃から、「誰だ、今の汚い野次は!」とダグアウトを睨みつけると、沈黙するようになったんです。その時に、「あぁ、オレもある程度の経験と年齢を重ねたんだな」と実感しました。

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