元審判員が語るプロ野球の裏話。「ブラウン監督の退場劇の真実」「メイクドラマの張本人は?」

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

 実家の寺を継ぐため、2020年を最後に住職になったNPB元審判の佐々木昌信氏。公式戦通算2414試合出場、日本シリーズに6度出場したベテラン審判だ。その佐々木氏に「マスク越し」から見たプロ野球の世界を語ってもらった。

NPBの監督として最多となる12回の退場を受けたブラウン監督NPBの監督として最多となる12回の退場を受けたブラウン監督この記事に関連する写真を見る

ブラウン監督の退場劇はシナリオ!?

 マーティー・ブラウン監督は広島時代に8回、楽天時代は1年間に4回、計12回の退場処分を受けています。これは日本プロ野球の監督の最多記録です。

 ジャッジを不服としてホームベースを土で隠したり、ベースを引き抜いて投げたり......。見てのとおり激情型ではありましたが、多分にショー的な要素が入っていました。なぜかと言うと、ブラウン監督は「早く退場にしてくれ。何やってんだ、今だよ!」と。ブラウン監督からすれば、チームの士気を上げるための振る舞いだったのでしょう。

 同じ外国人監督では、ニューヨーク・メッツをはじめメジャーの監督を歴任したボビー・バレンタイン監督は一見、ジェントルマン的な雰囲気を醸し出していましたが、じつは超激情型で怒ると大変でした。

 ちなみに、外国人選手で手を焼いたのが、近鉄や巨人でプレーしたタフィー・ローズ選手、おもに西武で活躍したアレックス・カブレラ選手、ヤクルト、ソフトバンクでプレーしたウラディミール・バレンティン選手の3人。彼らはすぐ判定に文句を言ってくる「クレーマー」でしたね(笑)。

選手も審判も嫌がる残業試合

 あまり大きな声では言えないのですが、長丁場のペナントレース中は、できることなら普通の試合時間で終わって、翌日も万全の状態で臨みたいというのが本音です。それは選手や球団関係者はもちろん、お客さんも結末は見届けたいが、電車の時間も気になるのではないでしょうか。

 試合時間のメドは、1回表裏で20分。これが9回で180分......すなわち平均試合時間である約3時間になるわけです。たとえば18時開始の試合で、3回裏が終わった時点で19時なら順調なのですが、これが19時半とか、20時となると「今日の試合は長いな」となるわけです。

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