MVP捕手・中尾孝義が衝撃を受けた投手5人。「300勝はできた」「どうやって打てばいいんだ」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Koike Yoshihiro、Sankei Visual

32歳の若さでこの世を去った津田恒実32歳の若さでこの世を去った津田恒実この記事に関連する写真を見る

ベース付近で加速する速球

津田恒実(元広島)

 ストレートなら、津田も忘れられないひとりです。先発で投げている時はそこまで印象に残っていないのですが、抑えになってからの津田はすごかった。とにかくボールが速く、勢いがあった。ストレートは江川と同じホップしてくる軌道で、バットに当てるのが困難な投手でした。

 ベースに近づくにつれて加速してくるイメージで、捉えたと思ってもボールの力に負けてファウルになったり、凡フライになったり......球速表示以上に速さを感じました。

 変化球はそこまですごいというわけではなかったので、ストレート一本に絞って待っているんですが、それでもまともに当たらない。ピッチングフォームもダイナミックで、本当に迫力がありました。

斎藤雅樹(元巨人)

 あとストレートでどうしても外せないのが斎藤です。僕が中日から巨人に移籍した時に、当時の藤田元司監督、中村稔コーチから言われたのが「斎藤雅樹を一人前にしてくれ」でした。斎藤とは中日時代に何度か対戦したことがあったのですが、とにかくストレートが強い。だから、なぜこれだけのボールを投げられるのに勝てないのか、不思議でなりませんでした。

 斎藤とバッテリーを組んで、まず言ったのは「アバウトに投げろ」ということ。それまでの斎藤はいいところに投げようとしすぎて、思いきり腕を振れていなかった。とにかくストライクゾーンにさえくれば、彼のストレートは生きると。

 その読みどおり、斎藤は見事に化けたわけですが、自信を持ってからのピッチングが圧巻でした。ストレートはもちろんですが、スライダーも大きな武器になって、まさに「球界のエース」へと上り詰めていきました。テンポもいいし、斎藤が投げる日は試合時間が短かった。みんな早く飲みに行けるって喜んでいました。

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