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指揮官の出遅れ、主砲のコロナ感染、2年ぶりの有観客...日本一球団・ヤクルトキャンプのリアル (3ページ目)

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

「1本目!」「2本目!」

 ベースランニングが始まると、選手たちのかけ声にスタンドから笑い声が沸き起こった。

「こうやってファンの方たちに球場に来てもらえることが、プロ野球のあり方なのかなと。昨年のキャンプは無観客でしたし、シーズンも満員のなかでプレーすることができませんでした。これからお客さんにどんどん球場に入っていただいて、我々がゲームを進めていく。そうした形になることを望んでいます」(高津監督)

【外出制限をプラスに変える】

2月6日(観客1800人)

 朝7時45分。球場に隣接する陸上競技場に、キャンプ中の日課であるウォーキングをする杉村繁コーチの姿があった。杉村コーチは1月に「無症状」での陽性判定が出た。厚生省が規定する隔離期間を経て、2月5日からチームに合流していた。

 杉村コーチが「久しぶりに体を動かしたらバキバキですよ」と苦笑いしていると、そのうしろを森岡良介コーチがこれも日課となっている施設周辺のゴミ拾いを終えて戻ってきた。空を見上げると久しぶりの青空。個人的に、いつものキャンプの風景が戻ってきたとうれしい気持ちになった。

 オミクロン株の感染力は強力で、いくら予防していてもゼロコロナは難しい状況だ。ヤクルトは二軍キャンプで陽性判定の報告があり、中日では立浪和義監督と1軍コーチ全員がホテルに隔離となる事態に陥った。

 選手たちはオフシーズン、そしてこのキャンプでコロナとどう向き合っているのか。3人の選手に話を聞くことができた。

「キャンプ中に外食できないことは残念ですけど、逆に外出制限があることで、ホテルの部屋で野球や自分と向き合う時間が増えることをプラスにとらえています。定期的なPCR検査が続いていますが、間違いない行動をしているので、精神的につらいとかはないです。そのなかで、自分は守備や走塁など確率を上げていかないと試合に出られない立場なので、そのための練習を積み重ねていきたいです」(山崎晃大朗)

「食事に出かけたりリフレッシュできないのは残念ですが、シンプルに野球をやりに来ているので、コロナ禍の影響で練習に集中できないとかはありません。三振を減らすアプローチを課題としていて、今のところ順調とは言えないのですが、まだキャンプがあるので突き詰めていければいいなと思います」(塩見泰隆)

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