指揮官の出遅れ、主砲のコロナ感染、2年ぶりの有観客...日本一球団・ヤクルトキャンプのリアル

  • 島村誠也●文・写真 text & photo by Shimamura Seiya

 プロ野球の春季キャンプは、練習試合もスタートするなど中盤に突入。各チーム、いまだ出口の見えないコロナ禍のなか、2年ぶりの有観客でのキャンプを決断。キャンプ地の風景はどうなっているのか。昨年のチャンピオンチームであるヤクルトの沖縄・浦添キャンプを取材した。

2年ぶりの有観客キャンプとなったが、ブルペンは見学できないなど規制は多い2年ぶりの有観客キャンプとなったが、ブルペンは見学できないなど規制は多いこの記事に関連する写真を見る

【非常事態でのキャンプイン】

2月1日(観客450人)

 一軍キャンプメンバーに名前が入っていた村上宗隆と左のエース候補・高橋奎二は、1月の自主トレ期間中にPCR検査で陽性となったためキャンプ初日は不参加。また、高津臣吾監督は近親者に陽性判定が出たことで、合流が遅れると発表された。

 午前7時半、報道陣受付で取材のガイドラインに則り、PCR検査の陰性証明書を提出(現地入域72時間以内のもの)。無事にキャンプ取材がスタートした。

 室内練習場前に選手を乗せたタクシーが次々と到着。去年は宿舎から球場への往復は大型バスで移動していた。球団関係者がこの変更についてこう説明する。

「オミクロン株は感染力が非常に強いので、ひとりでも陽性判定が出てしまえば、バスの場合はかなりの人数が濃厚接触者扱いになってしまう可能性がある。そのリスクを最小限に抑える防衛策です」

 タクシーの乗車は2人まで。タクシー会社も車内の消毒、除菌は徹底しているという。

「楽しくやっていきましょう。さぁ行こっ!」

 山田哲人キャプテンの声出しが終わると、キャッチボールが始まった。「ポン」「ポン」とミットにボールが収まる心地いい音に、キャンプがスタートしたことを実感する。

 ブルペンでは21年目の石川雅規が、チーム一番乗りでキャッチャーを座らせてのピッチング。この日は13人の投手が気持ちよさそうに腕を振り、そのなかに3年目の奥川恭伸の姿もあった。

「ユニフォームを着て練習するのは今年初めてだったので、ドキドキしました。あらためて投げる楽しさというか、野球をしている感じがしたので楽しかったです」(奥川)

 ブルペンは、これまではファンも見学できたが立ち入り禁止エリアに指定された。

「人数を制限して見学を可能にする考えもありましたが、選手が頻繁に移動するエリアなので立ち入り禁止とさせていただきました」(ヤクルトスワローズ浦添協力会)

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