栗山英樹が侍ジャパンの指揮官になった理由。3月の台湾戦は「中心選手は呼ばなくてもいい。見極める選手を試す」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sano Miki

── 3月の台湾戦は、WBCで柱になるべき選手を外して戦うということですか。

「キャンプに行ったら、本番では中心として考えているけど春の試合に呼ばない選手には、『今回は選ばないけど、選ばれたつもりで秋に向かって1年間、頑張って』と伝えるつもりでいます。何が起こるわからないなか、選ぶことを決めているという言い方はできませんけど、普通に考えたら絶対に必要な選手に対して、春の試合にあえて呼ばない理由は説明しなくちゃいけませんからね」

── 本番に必要な選手を春に呼ばない理由というのは?

「時間がないとはいっても、最初は100人くらいの選手を候補としてイメージしながら、どう組み合わせるのが勝ちやすいのかを考えています。そうすると、春は絶対に必要な選手ではなく、必要かどうかを見極める選手を試さなければなりません。それはコーチやスタッフにしても同じで、春に選んだコーチのまま、秋や本番を戦うかどうかもわかりません」

── コーチを代える可能性もあるということですか。

「というより、ベンチに入れる人数が決まっているので、そこにいるのはコーチがいいのか、アナリストの役割を担う人がいたほうがいいのかということも、これまでの常識を取っ払って考えたいということです。コーチの仕事が技術を教えるものだと考えるなら、日本代表レベルの選手にとっては、分析したデータをもとに試合で勝つための指示をしっかり出せるアナリストがベンチにいてくれたほうが勝ちやすいんじゃないか、という考え方もあると思うんです。

『この球を狙いましょう』『こっちを守って下さい』『この球は投げないで下さい』という指示はコーチよりもアナリストのほうができるかもしれない。技術的なアドバイスを必要としないレベルの選手が集まるチームですから、なおさらです。だから、どこかにオレの知らないすごい能力を持った人たちがいないのかって、今、あちこちに投げかけています。そういうことも含めて、全部を決めるのは秋でいいんじゃないかなと思っているんです」

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