栗山英樹が侍ジャパンの指揮官になった理由。3月の台湾戦は「中心選手は呼ばなくてもいい。見極める選手を試す」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sano Miki

【3月の強化試合の目的】

── 日本代表の監督になって、どんなことから考え始めているんでしょう。

「次のWBCは一発勝負に近い戦いになりますからね。チームとしていろいろと試す時間がない。3月の台湾との2試合は通過点でしかなくて、ここは選手を試す目的がありますけど、秋の試合のあとはすぐにWBC本番なので、チームとして何かを試す時間がありません。もう、一発勝負です。そのためにはその時点で調子がよくて、魂のある選手に集まってもらうしかないんです。

 だからこちらとしては、ほかの国の選手のデータをどうやって集めたらうまくいくのかとか、そういうバックヤードのことをしっかりやり遂げなければいけない。そこは重要になってきます。集まってくれるのは技術を教えるレベルの選手たちではないので、この球を狙いましょう、この球はダメです、トータルでこう攻めますという指示が大事になってくる。最後、勝負がかかった場面で『この球だけを最後まで待ってくれ』と言いきれるだけの指示が出せるかどうか。それがこっちのできることだと思っています」

── チームのなかで柱となるべき選手には、どう接していきますか。

「まず12球団の監督に連絡をして、『一緒に戦って下さい』とお願いしました。ただ選手に関しては、もう少し丁寧に考えたいと思っています。中心になる選手はある程度、決まっている。ただ、それを伝えて、早い段階から意識させてしまうことがいいのか、悪いのかということは慎重に考えなければなりません」

── 3月には台湾との強化試合があります。東京オリンピックで金メダルを獲ったチームとは違う顔ぶれになるイメージはあるんでしょうか。

「春の試合では選択肢をもっと広げたいですね。逆に言うと、ほぼ決まっている人たちはそこに来なくてもいいぐらい。来たいと言ってくれるならありがたいんですけど、オリンピックに出て疲れているのもあるだろうし、去年のスケジュールがかなり遅い時期まで引っ張られて、すぐにキャンプがやってきて、3月にバタバタさせて大丈夫かなという心配はしています」

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