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ビッグベイビーからビッグチャイルドへ。ソフトバンク5年目のリチャードは覚醒するか (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Koike Yoshihiro

 落ち込んでいるのか、不貞腐れているのか、そんな態度を見た藤本監督は「調整のつもりでファームにおるんか。おまえの実力が足りんかったから、ここにいるんやないのか!」と厳しく言い放った。以来、リチャードは目の色を変えた。その言葉がなければ、終盤戦の活躍はおろか、一軍デビューを果たすことすらできなかったかもしれない。

「あいつはビッグベイビーやからな」と藤本監督はずっとリチャードのことをそう表現している。

「リチャードは若手ではメンタルが一番弱い。なので、試合前にはいつも『部屋に来い』と言って話をしました。2、3分ですけど。そのことでやる気を出す、本人がこうしたいというのを芽生えさせようとしました」

 ビッグボスならぬ、ビッグベイビー......。ただ、もちろんリチャード自身もいつまでもそこに甘んじているわけにはいかない。

【設定体重を超すとB組スタート】

 約2カ月で7本塁打の昨年について「全然足りない」と言い放ち、今季に向けては「シーズン40本塁打」と大目標を掲げた。

 藤本監督も昨秋のキャンプで練習に打ち込む姿を見て、「以前ならばすぐにヘコたれてやめていたけど、食らいつくような姿を見せるようになってきた。ビッグベイビーからビッグチャイルドくらいには成長したかな(笑)」と自慢のヒゲを蓄えた口元をニンマリ緩めていた。

 とはいえ、手綱を緩めることはない。

「毎年、自主トレに行って帰ってくると(体重)120キロぐらいまでいく。シーズン中は115キロぐらいなので、食事分の3キロを足して118キロ以内でキャンプインすること。三塁のポジションは空けているわけじゃない。勝ち取るぐらいの気持ちでやるには、覚悟を持って臨んでもらいたい。0.1キロでも超えていたらB組スタートにさせる」

 このように厳命し、チーム全体に対しても「2月1日に12分間走をするから、そのつもりで準備をしてくるように」と各選手に自覚を求めた。

 リチャードは毎オフ、同じ沖縄出身の先輩の西武・山川穂高と一緒に自主トレを行なっている。年明けから再流行している新型コロナの影響で自主トレ公開が行なわれていないため、近況はまったくの不明だ。

 勝負をかける5年目でいきなり躓くわけにはいかない。はたしてどんな姿でチームに合流するのか、リチャードから目が離せない。

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