ジョニー黒木が語る印象深い打者5人。イチローよりも生涯打率.250の打者に苦しんだ (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Sankei Visual

 僕のピッチングスタイルの基本は"インコース攻め"だったのですが、健さんにはそれが通用しなかった。インコースのボールの捌き方もうまかったのですが、避け方も超一流で、厳しいコースを突いてもまったく効果がない。インコースで体を起こしてから、アウトコースで打ちとるというプランが成立しないバッターでした。

 めちゃくちゃ打たれたわけじゃないのに、僕のなかに嫌な印象があって、最後までそれを払拭することはできなかったですね。

【何を投げても打たれた天敵】

 そして最後に挙げたいのが、野口寿浩(元日本ハムなど/生涯打率.250)さんです。おそらく最も打たれたバッターだと思います。とにかく何を投げても完璧に打たれるから、絶対にクセを盗まれていると思ったんです。ただ僕自身、ボールの握りかえも得意でしたし、クセはないはずという自負がありました。それでもあれだけ打たれたら「もしかしたら......」と不安になりましたね。

 一度、野口さんに「絶対に僕のクセを知っていますよね」と聞いたことがあったんです。「そんなわけないだろう」って否定されましたが、「でも、ジョニーの球は何が来ても打てる」とも。波長が合ったのか、何を投げてもタイミングがあったんでしょうね。まさにお手上げのバッターが野口さんでした。

 もし大谷翔平と対戦したら、ですか? 僕が絶好調で、大谷が絶不調の時にようやく勝負できるという感じじゃないですかね(笑)。正直、打ちとれるイメージは湧きません。それでも勝負するとしたら、アウトコース高めにカーブを投げますね。大谷のなかで一番予想していないボールかなと。それを仕留められたら、どうしようもありません。ただ、対戦してみたかったという思いはありますね。

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