オリックスのリーグ制覇はなぜ実現したのか。OBの日本一戦士が比較する「仰木野球」と「中嶋野球」 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Koike Yoshihiro

── そうした重圧をいかに取り除くかも、監督やベンチの役割になると?

「僕はソフトバンクのコーチとして3回、日本シリーズを経験していますが、それほど仕事はなかった。当時のソフトバンクは、内川聖一(現・ヤクルト)など脂の乗りきった選手が多く、常勝チームと呼ばれていた。選手たちも自信を持ち、戦い方を知っていたから、コーチの役目は彼らを気分よくグラウンドに送り出すことぐらい。

 今年のオリックスは25年ぶりの優勝ですし、短期決戦の戦い方を知っている選手は皆無に等しい。当然、ソフトバンクのような真似はできないけど、要はどっしり構えて臨むこと。ベンチは普段の力を出せるよう、いかに環境づくりをしてあげられるかでしょうね」

── 中嶋監督はどんなゲーム運びをすると思われますか。

「じつは、意外と奇策を好むところがあるんです。今年もシーズン最終戦でツーランスクイズを仕掛けましたよね。たまにアッと驚くようなことをするんです。もし日本シリーズに出たら、普通に考えれば初戦は山本由伸でいって、1つ取るのが定石。そこをあえて違う投手でいって、山本を2戦目に使うとか。可能性は低いかもしれないが、なにか仕掛けてくるかもしれません。

 いずれにしても、日本シリーズのみならずCSファイナルも山本がカギを握っている。普段のピッチングで勝てば、流れは一気にオリックスに傾くはずです。逆に、山本で負けると痛い。でも、中嶋監督は山本で落とした時、いかに挽回するのかを考えていると思います。『それこそ自分の仕事だ』とでもいうようにね」

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