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オリックスのリーグ制覇はなぜ実現したのか。OBの日本一戦士が比較する「仰木野球」と「中嶋野球」 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Koike Yoshihiro

── その点、今のオリックスは中嶋聡監督の、いわば"我慢の野球"が浸透し、選手たちが花開いたとも言えます。

「まさにそうです。中嶋監督とは2018、19年の2シーズン、彼が二軍監督で僕が打撃コーチという関係で一緒にやりました。その頃から、"我慢"というのをすごく意識していたように思います。長年オリックスは、打者は結果が出ないとすぐ代えたり、二軍に落としたりという状況が続いていました。そんな状況を、中嶋監督は打破したかったんでしょう。そうやって二軍で鍛え上げたのが杉本ら、今年台頭した選手です。使えば必ず結果を出すという手応えもあったのでしょうね。

 また今季成功した要因として、中嶋監督の性格的な部分もあると思う。彼は現役時代から信念を曲げないところがある。たとえ監督に就任しても『やることはやる。やるべきでないことは、たとえフロントから言われてもやらない』といった強気な部分があるんです。おそらく納得できないなら、いつでも監督を辞めるといった腹のくくり方をしている気がします。そんな性格が幸いして、選手たちを花開かせたと思うんです」

── 打っても外される"仰木野球"と、打てなくても我慢し続ける"中嶋野球"は対照的ですね。

「そうですね。でも共通しているのは、仰木さんも中嶋監督も信念があるということです。監督がブレないから、選手も安心して試合に臨める。以前のオリックスの打者は、打てなければ代えられてしまうと思うあまり、ベンチを意識しすぎる感があった。敵は相手チームの投手ではなく、ベンチになってしまう。それでは勝てるはずがない。96年の時も今回も、優勝できた要因は戦力のバランスとともに、監督のブレない采配も大きかったと思います」

── これからオリックスはCSファイナル、勝てば日本シリーズが待っています。短期決戦での重要なポイントは。

「短期決戦はいかに調子を初戦に合わせられるかがポイントです。それで一気に決まるといってもいいかもしれない。ただ、それ以上に大事なのはメンタルです。とくにリーグ優勝したチームは『CSは絶対に負けられない』という心理が働き、想像以上に重圧がかかるものなんです。逆に2位、3位のチームは失うものはないと意気込んでくるから、なおさら戦いづらい。そうした重圧に打ち勝つメンタルが必要になります」

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