オリックスのリーグ制覇はなぜ実現したのか。OBの日本一戦士が比較する「仰木野球」と「中嶋野球」 (5ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Koike Yoshihiro

── 仰木監督の野球とはどのようなものだったのでしょう。

「仰木監督は当時、猫の目打線で有名になりました。相手投手によって打順を代えるだけでなく、4番打者でもアッサリと外すなど大胆な起用でした。でも、ただ外すだけではなかった。外しても、すぐにチャンスを与えてくれたし、外した選手の代わりには、必ずといっていいほどライバルのような選手を起用していたんです。ライバル心を刺激させ、互いを競わせる。だから選手も必死になる。常に緊張感を持たせるから、選手も腐る暇などなかったわけです。

 仰木さんは『1回のミスは仕方ないが、2回目のミスは許さない』というのが持論でした。何度もミスを許してしまうと、チームのためによくないと。選手のことを考えつつ、チーム全体もしっかり見ている監督でしたね」

── 競争と団結を両立するのは難しいものだと思いますが。

「難しくはありません。要は、勝てばいいんです。勝つことでチームがまとまっていくのがプロ野球ですから。もちろん仲のいい選手はいましたが、だからといってベタベタした関係ではなかった」

── 今シーズンのオリックスですが、山本由伸投手、宮城大弥投手の存在が大きかったと思います。

「絶対的なエースがいるのは大きいです。それに、目に見えない貢献もあるんです。たとえば、96年のチームでいうなら星野伸之さん、野田浩司さんという2枚看板がいました。安定した投球ができる2人でしたが、ともにテンポがよかった。抑えている時はもちろん、打たれていてもテンポよく投げてくれた。投手のテンポがいいと打者のリズムもよくなる。結果は負けたとしても、翌日の試合に向けて疲れを残さない。これは大きかった。今シーズンの山本、宮城も成績もさることながら、リリーフ陣や野手に対して好影響を与えていたと思いますね」

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