史上最長の12年連続ドラフト指名。なぜ明治大から多くのプロ野球選手が輩出されるのか
東京都府中市にある明治大学硬式野球部合宿所の玄関を開けると、すぐ右側の壁に輝かしいネームプレートが飾られている。刻み込まれているのは、同部から野球殿堂入りを果たした23人のOBの名だ。"青バット"の大下弘、"フォクボールの神様"こと杉下茂、"御大"と慕われた島岡吉郎、"燃える男"星野仙一など、まさに日本球界の歴史をつくってきた面々である。
2021年のドラフト会議が行なわれた10月11日。現チームで主将を務める丸山和郁は、明大野球部の合宿所で特別な緊張感に包まれていた。
「プレッシャーはかなりあって。自分たちの代で途切れたらどうしようと、ずっと思っていました。伝統をつなぐことができて本当に良かったです」
10月11日のドラフトでヤクルトから2位で指名された明治大・丸山和郁この記事に関連する写真を見る 丸山がヤクルトからドラフト2位で入札され、明治大学は史上最長のドラフト連続指名記録を12年に伸ばした。
新人選手選択会議では毎年100人以上が名前を呼ばれるが、明大はただプロの世界に送り出しているわけではない。その多くが各球団の戦力として活躍しているのだ。
2010年:荒木郁也(阪神5位)
2011年:野村祐輔(広島1位)、島内宏明(楽天6位)、柴田章吾(巨人育成3位)
2012年:上本崇司(広島3位)
2013年:岡大海(日本ハム3位)
2014年:山崎福也(オリックス1位)
2015年:高山俊(阪神1位)、上原健太(日本ハム1位)、坂本誠志郎(阪神2位)
2016年:柳裕也(中日1位)、星知弥(ヤクルト2位)、佐野恵太(DeNA9位)、中道勝士(オリックス育成5位)
2017年:齊藤大将(西武1位)
2018年:渡邊佳明(楽天6位)
2019年:森下暢仁(広島1位)、伊勢大夢(DeNA3位)
2020年:入江大生(DeNA1位)
2021年:丸山和郁(ヤクルト2位)
この12年で計20人が指名され、そのうちドラフト1位は8人。野村や柳、森下のように高校時代から注目を集め、順調に巣立った者も多くいる。人気の東京六大学のなかでも明治は名門で、好素材を獲得しやすいことも次々とプロに送り出している背景にあるだろう。
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