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井端弘和が選ぶ東京五輪の「最高のヒット」。個人的に選んだMVPは? (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Reuters/AFLO

――2戦目でメキシコに勝利したあと、ノックアウトステージ初戦のアメリカにリードを許す展開になりました。9回裏に同点に追いつき、タイブレークで延長10回に勝利をもぎ取りました。

「5-6で迎えたアメリカ戦の9回裏は、鈴木誠也が1アウトからフォアボールを選び、そこで浅村栄斗がライト前のヒットを打ったことが大きなポイントになりました。僕は一塁コーチャーでしたが、『ここで一、三塁にできたら......』という理想を見事に実現してくれました。次の柳田がセカンドゴロで1点をとってくれて、落ち着きました。

 アメリカ戦で負けていたら、次の日は試合開始が早いゲームになるなど、コンディション面でも難しくなったはず。その点でもあの浅村のヒットは、僕個人としての『東京五輪の最高のヒット』ですね」

――浅村選手は、本来とは違うファーストの守備も安定していましたね。

「これまでも、所属チームではセカンドを守っている山田か浅村が、ファーストを守ってくれていました。東京五輪では山田をDHで起用して浅村がファーストでしたが、最後までしっかり全うしてくれた。

 浅村の反対方向に打てるバッティングはチームに不可欠なので、スタメンで使うための守備位置変更ですが、浅村本人が試合に出ることを優先してくれた。本来のポジションのほうが、バッティングもいいリズムで入れるはず。それでも打撃面でも貢献してくれた浅村には感謝しかありません。そういった経緯も踏まえると、もし僕が個人的MVPを選ぶなら浅村になります」

――準決勝の韓国にも、一度は同点に追いつかれながら引き離し、再び決勝でアメリカと対戦となりました。

「アメリカは予選の2試合を見に行った段階では、『あまり打者の調子がよくない』と感じました。ただ、ノックアウトステージに入って、日本との1試合目でもバットが振れるようになっていた。決勝までに、さらにスイングの調子がよくなっていたらまずいな、とは思っていましたね」

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