井端弘和が選ぶ東京五輪の「最高のヒット」。個人的に選んだMVPは？ (3ページ目)

――結果としては、２―０でしっかり相手打線を抑えての勝利でしたね。

「もちろん相手打者の対策は練り直しましたが、それでも０点に抑えられるとは思いませんでした。３回裏に村上宗隆のホームランで先制して、先発の森下暢仁がよく粘ってくれた。それでも『こんなはずがない。反撃があるはず』と思っていましたが......あれよあれよという間に試合が終わってしまったような感覚です（笑）」

――東京五輪で、「ここが１番危なかったな」と思う試合やシーンは？

「選手のプレー面で『危ない』と感じる場面はなかったように思います。準決勝の韓国戦では、同点の８回裏の日本の攻撃で、一塁ファーストゴロを韓国の投手がベースカバーをミスしたことが勝利につながりました。あらためて、特に試合終盤でのミスが結果に直結すると実感しましたし、その点では日本に不安はありませんでした。

　ただ、試合展開としては、すべての試合がきつかったですよ。クローザーの栗林良吏に５試合すべてで勝ちかセーブがついていることも、それを証明していると思います」

――接戦が多かったのは、四番の鈴木誠也選手が本調子でなかったことの影響もあったでしょうか。

「それはあまり関係ないです。特に短期決戦では、選手全員の調子がいいことはまずない。鈴木もフォアボールは選べていましたし、試合を重ねるごとにヒットも出ていました。打線の並びもよかったと思うので、勝負所での得点につながったんだと思います」

――その打線の中で、三番に吉田正尚選手、八番に村上選手を起用した理由は？

「三番は柳田も考えていましたが、事前の合宿で少し体の状態に不安があったこともあり、下位での起用になりました。吉田は現在、プロ野球でもっともヒットが期待できる選手。昨年は首位打者で、ケガで離脱しましたが今年もタイトルを狙える位置にいますしね。一、二番が出塁した時に本塁に返す打者、チャンスメーカーとしても吉田は適任だったと思います。