井端弘和が選ぶ東京五輪の「最高のヒット」。個人的に選んだMVPは?
井端弘和「イバらの道の野球論」(19)
東京五輪総括 後編 前編:山田哲人がランナーの時にだけ起きた異変>>
東京五輪での侍ジャパンは、結果的には5戦5勝、無敗での優勝だったが、9回までリードを許す試合もあるなど苦しい試合の連続だった。井端弘和が、内野守備・走塁コーチの視点から見た死闘を振り返る。
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――初戦のドミニカ共和国戦は、9回表を終了した時点で1-3とリードされるかなり苦しい戦いになりました。チーム全体に五輪1試合目の緊張感があったのでしょうか。
「やはり初戦ならではの緊張感はありましたね。また、ドミニカの先発だった巨人のメルセデスが、シーズン中よりも球のスピード、コントール共によかった。
チームとしても、最終予選でしっかり試合数をこなしていましたし、日本以外のチームのなかでもっとも仕上がりがいいと思っていました。緊張している様子もなかったですね。そのドミニカと初戦で当たってしまったので、終始リードされる展開になってしまったんだと思います」
――しかし9回裏は柳田悠岐選手の内野安打からチャンスを広げ、1点差としたあとの1アウト一、三塁の場面で、甲斐拓也選手の同点スクイズがありました。あれは、合宿中も想定して練習していたんですか?
「直前の強化試合の時も、甲斐のスクイズは想定していました。あの場面は、相手が同点にさせたくないとホームに投げてくれたこともラッキーでしたね。それで甲斐が一塁に残り、1アウト一、二塁で山田哲人、坂本勇人につなぐことができたことがサヨナラにつながったんだと思います。
山田のヒットで満塁になり、坂本が初球を捉えて決めてくれた。どんな形であれ、初戦で勝利できたことは大きかったです」
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