オリックスが「球界初」の攻めた姿勢。なぜ「素人」メンタルコーチを導入? (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「選手が最も成長できるのは、経験を積むことです。それも一軍の経験が大きい。まだ力がなくて一軍に行けない若手選手には、小さな成功体験を積ませたい。もし試合に出られない時期が続いたら、闇雲に落ち込ませないように、何が足りないかを明確にしてあげる。『今、必要なことをやろう』と伝えながら、頭の整理をさせてあげたいと思います」

 スポーツではよく、「心技体」が大切と言われる。3つの要素の相関関係について、酒井コーチはこう考えている。

「たしかに心は大事です。でも、プロでやっていくための基礎体力と技術力をまずはしっかり身につけないといけない。そうでなければ、どれだけメンタルが強くても生き残っていけません」

 技と体のレベルを高めるため、心をどのように持つか。3つの要素をうまく掛け合わせることが、山本や西のようなエースになるためには不可欠になる。

「今のうちのチームには、まだ経験を積む時期の選手が多いです。やっとプロ初勝利を挙げたとか、一軍で20試合投げられたとか。そういう活躍を3、4、5年と続けた選手が増えていき、山本、山岡(泰輔)、田嶋(大樹)、宮城(大弥)などが4、5年ローテをしっかり守った時、本当にチームが強くなると思います。そうやって期待できる選手は、いっぱいいるんですよ」

◆「セよりパのほうが100%レベルが高い」元DeNA監督のラミレスが断言する理由>>

 群雄割拠のパ・リーグで、毎年のように「今年こそは......」と言われ続けてきたオリックス。酒井コーチは「周囲の過大評価」と話す一方、期待したくなる選手が多いことは間違いない。

 長らくの低迷を脱するべく、オリックスが打っているさまざまな手が実を結ぶのは、もう少し先のことだろう。遠くない将来の収穫を見据え、種をまいていく。

 強いライバルたちに囲まれながら切磋琢磨しているからこそ、パ・リーグはどんどんレベルアップを果たしている。

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