DeNAの開幕投手候補は崖っぷち上等。
大貫晋一の山あり谷ありの野球人生

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 2ケタ勝利のシーズン、大貫のターニングポイントは、やはりあの中3日ではなかったか。屈辱のノックアウトを喰らったあと、3日という時間をどう使っていたのだろう。

「あの時は、すぐに横浜へ帰らされる(二軍落ち)ものだと思っていました。でも、すぐにチャンスをもらえて......そういう時って僕、意外と頭のなかがクリアなんです。もともと自分でコントロールできることしか考えないようにしていて、周りのことをあまり気にしないんです。あの時も本当にあとがないとなったのに、もらえると思っていなかったチャンスをもらえて、これは結果を出すしかないな、とだけ考えていました。そのためにやるべきことと、やるべきでないことの線引きがしっかりできていた。

 やるべきことというのは、甲子園では調子自体はそんなに悪くなかった、と思うこと。やるべきじゃないのは、ああいうフワッとしたゲームへの入り方。次は初回からしっかりゲームに入れるようにすればいい、と、そう考えていました。立ち上がりというのは本当に難しくて、フワフワ入ってもダメだし、気持ちを入れすぎてもよくない。そのバランスを考えて臨みましたね」

 もちろん、メンタルだけではない。大貫は技術面でも具体的な課題を見つけて、その解決に取り組んだ。

「木塚(敦志)コーチとフォームを見直して、足から始動していたものを上半身から動くようにしたら感覚がよくなりました。強いボールが狙ったところへいく感じがしたんです。そうやって、自分のリズムを作れたのも大きかったのかなと思います」

 野球を考え抜いてきたからか、大貫は取り組んでいることと、その意図をきちんと言葉にできる。このキャンプでも、今のテーマをこんなふうに言葉にしてくれた。

「去年の12月に、フォームの動作解析をしてもらったんです。今はその時に出てきた課題に取り組んでいます。それは、横に移動する時間が短いのと、横に移動するときの力のベクトルがズレているところ。だからなるべく長い時間、しっかりとした向きにして、地面から力をもらえるようなフォームにする、というのが今の課題です。そのためにフィジカル面に関してはお尻や太ももの裏の筋肉をしっかり狙って使えるよう、トレーニングしています。

 あと技術面では、そうやってハムストリングをちゃんと使おうと思ってもなかなか思うように使えないので、基本的なサイドステップを繰り返しながら、どうやって動かしていけばそういうフォームになるのかということを身体に覚えさせて、無意識のなかでもその動きが出るように練習しています。結果、ボールを強くするのが狙いですし、1年間、ローテーションの軸として投げ抜くために、なるべくケガをしないフォームを身につけることにもつながっていくと思っています」

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