2021.02.11

ノムさん逝去から1年。息子・克則が
明かす長嶋茂雄との最後の会話

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Sankei Visual

 2020年2月11日に野村克也氏が84歳で逝去して1年が経った。現役時代、戦後初の三冠王に輝き、プロ野球歴代2位の通算3017試合出場、同2位の657本塁打を記録。監督としても南海、ヤクルト、阪神、楽天を率い、歴代5位の通算1565勝を挙げた。「名選手にして名監督」と呼ばれた父に育てられ、現在は楽天で育成コーチを務める息子・克則氏に「野村克也」の偉大さを語ってもらった。

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2006年に現役を引退した克則氏(写真左)と当時楽天監督だった野村克也氏2006年に現役を引退した克則氏(写真左)と当時楽天監督だった野村克也氏  正直、まだ『東京の家に帰ったらいるんじゃないかな』って思うんです。1月24日に1周忌を執り行ないまして。その時に「おふくろ(沙知代)がそろそろ寂しくなるんじゃないか」と思って、このタイミングで納骨を済ませました。でも、まだオヤジが亡くなったという実感がないんですよ。

 1年前のあの日は、本当に突然のことでしたから。それまでは毎月、定期検診を受けていましたし、医者からも「お体の問題はございません」と聞いていました。去年、僕が楽天の一軍作戦コーチとして、沖縄の久米島キャンプへ行く直前にあいさつした時も元気でしたし、「一軍は厳しい戦いばかりだけど頑張れ」と激励を受けました。他愛もない会話でしたが、握手を交わして見送ってくれました。

 僕自身、それまでバッテリーコーチをすることはあっても、作戦コーチは初めてで。オヤジがテレビなどの解説で、楽天の戦いをどう評価してくれるかと楽しみにしていただけに、キャンプ中に訃報を聞いた瞬間は「まさか......」としか思えませんでしたね。

 もっともっと"野村監督"からいろんなことを教わりたというのが本音ですが、今までたくさんのことを勉強させてもらいましたし、オヤジがいたからこそ今の自分がいる。それだけは胸を張って言えます。

 現役時代、ヤクルト、阪神、そして楽天でオヤジのもとでプレーさせていただきました。「野村克也の息子」と言われ続け、葛藤やプレッシャーはありました。それでも、僕としては精一杯、現役生活をやり切ったと思っています。