内川聖一が明かす現役続行を決断した要因。自身のキャリアを振り返る (2ページ目)
二軍での生活を余儀なくされるなか、内川は本来いる場所に戻るために、コンスタントに結果を出し続けた。格の違いを見せつけ、一軍昇格の声も日増しに高まった。だが、ペナントレースを快走する一軍から、なかなか声はかからなかった。
「そこは僕がコントロールできるものではないのでね。僕自身が行ける感覚を持っていたとしても、一軍の監督やコーチはそうは思わなかったということ。上げようと思わせるためには、結果を出すしかなかった。そのなかで『内川が必要』という状況を作れるほどの、結果を残せなかったのかなと」
二軍生活が長く続くなか、内川は次第にその状況を受け入れられるようになっていたという。
「二軍だからといって、やることは変わらないというか......。この後の野球人生をどうしていくか。なにをしなければいけないのか。そういうことをゆっくりと考えられる時間もありました。前向きかどうかはわからないですけど、二軍での生活のなかで自分ができることをやっていこうと。自分のなかでベテランだとか、年を取って来たなぁという意識もあったので、若い選手と一緒にやることで、若い頃の気持ちが呼び戻された感覚もありました」
決してモチベーションが落ちたわけではなかった。一軍だろうが、二軍だろうが、野球をやることに変わりはない。二軍という環境で、できることを100%の力で取り組むだけ。内川は、その日が来ることを信じて、ただひたすらにバットを振り続けた。
結局、内川は一度も一軍に上がれないまま、2020シーズンを終えている。ただ、残念な気持ちはあっても、悔しい想いはない。日本一となったチームのことも、むしろ客観的に見られたという。
「今まで日本一になった時は、戦力として貢献できましたし、それは当たり前の感覚でした。でも今回、僕がまったく関われないなかで日本一になったのを見て思ったのは、『やっぱりホークスは強いな』ということ。こんな強いチームでやらせてもらえていたんだなと思うと、逆にありがたい気持ちになったほどです。外から見て感じることもありました。寂しさもなく、悔しさもなく、ただただ、すごいなあと。何とも形容しがたい、不思議な感覚でしたね」
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