西武ドラ1・渡部健人のこだわり。フルスイングしない無心の境地 (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Nakajima Daisuke

 自慢の巨躯は大学入学時から2キロ増え、112キロに。ドラフト1位の指名を受けた後、「食って(自動車)教習所、食って教習所」という1カ月を過ごし、117キロまで増えた。さすがにヤバイと減量も考えたが、竹下潤育成アマチュアスカウトと潮崎哲也編成グループディレクターから真逆の言葉をかけられたという。

「痩せなくていいでしょ。その体で動けているし、それがおまえの魅力なんだから。痩せようと思うんだったら、シーズン中に勝手に痩せる。今、無理して痩せる必要はないよ」

 巨体から生み出すパワー、ラティーノのようにどっしり構えたメンタリティ、そして自身との対話能力を掛け合わせ、今後どんな選手を目指していくのか。

「誰からも応援され、子どもたちに夢を与えられる選手になりたいです。そこを目指すには、それだけの結果を残さないといけない。だからこそ、子どもたちも憧れてくれると思います。自分は子どもの頃からプロ野球選手のホームランを見て、カッコいいと憧れてきました。夢を与えてもらってきたので、今度は逆の立場になり、そういう選手になりたいと思います」

 大卒だが、必ずしも即戦力という評価ではない。そうした現在地でありながら、ドラフト1位で指名されるほどのポテンシャルを備えている。中村剛也、山川穂高という大砲を開花させてきた西武は、少なくともそう判断した。

 数年後、まぶしいスポットライトを浴びる一軍に定着した時、規格外の魅力を誇る渡部は目標の選手像に近づいているはずだ。

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