山本昌が早川隆久のフォーム論に驚き
「40歳で気づいたことを22歳でしている」 (4ページ目)
早川 はい。小宮山監督からは大きな影響を受けています。
山本昌 僕は同級生なので親しくお付き合いをさせてもらいましたけど、彼は独特なピッチングフォーム観を持っていて。以前には、「指から糸が出る」と言っていたことがあるんですよ(笑)。
早川 それは初めて聞きました(笑)。
山本昌 糸が出て、それがストライクゾーンに向かってピューッと伸びていくんだと。この話をした時にお酒を飲んでいたからかな(笑)。でも、僕は投げたい方向に(体の)ラインを作ると、球道が見えるということなのかなと解釈しました。フォームに関しては、小宮山監督からアドバイスをもらったことはありますか?
早川 はい。「軸足の拇指球(ぼしきゅう)の上に頭が乗るようにして、平行移動する時には後ろに人が立っているような状態で体重移動しなさい」と。体が後ろに倒れたり前にいったりしないように、そのままキャッチャーの方向に真っすぐ進めというアドバイスでした。それ以来、キャッチャーへのラインが出やすくなったと思います。
山本昌 さすが。糸が出るからね(笑)。
早川 そうですね(笑)。
山本昌 野球はカカトに体重がかかると、どうしても動きがワンテンポ遅れるんです。拇指球なら前かがみでもないし、ちょうどいいところに体重がかかっているのだと思う。それにしても、技術論をこれだけ交わせる学生選手は初めて。ちょっとびっくりだね。自信持って、そのままやっていければいいから。
早川 はい、ありがとうございます。
---- 早川投手が山本さんに聞きたかったことはありますか?
早川 山本さんが長年やってこられたなかで、体の故障に対してどう対処してきたのでしょうか。トレーニングの量を多くして、体の耐性をつけたのでしょうか。
山本昌 トレーニングに関しては、体を柔らかく保つトレーニングをしていました。疲れてくると、「体が張る」とよく言うじゃないですか。体が張るということは、固まるということ。体が硬くなって壊れていくので、柔らかく保つ努力が大事だと思います。
早川 なるほど。
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