山本昌が早川隆久の活躍に太鼓判
「大野雄大のルーキー時代より数段上」
山本昌×早川隆久 対談(後編)
2020年アマチュアナンバーワン左腕・早川隆久投手(早稲田大→楽天ドラフト1位)と32年間の現役生活で219勝を挙げたレジェンド左腕・山本昌氏。新旧サウスポー対談は濃密な投球フォーム論を展開した前編に続き、後編でもプロ入り後の過ごし方について話題が弾んだ。山本昌氏が早川投手について「15勝できる」と太鼓判を押す根拠はどこにあるのか?
早川隆久投手について「10勝できる」と断言する山本昌氏山本昌 楽天はGMだった石井一久さんが監督に就任しました。早川くんとしては、来年はやはり開幕ローテーション入りが期待されると思いますが、どうですか。
早川 やはり、目標としては開幕一軍ローテーション入りを目指してやっていきます。わからないことがあれば、石井監督にいろいろと聞きにいければなと思っています。
山本昌 今のボールをそのまま投げていれば、おそらく10勝はできると思います。大野雄大(中日)のルーキー時代より数段上なので(笑)。
早川 いえいえ(笑)。
山本昌 いや、本当に。大野は入ってからすごく成長したピッチャーでしたから。プロで食べていくために一番大事なことは、武器を何個持っているか。その意味でも、早川くんはどの球種でもどのカウントでもストライクを取れるし、追い込んでから決め球として使えるボールが何種類もある。それはすばらしいことです。
早川 ありがとうございます。
山本昌 一軍と二軍の差は、確率です。たとえダルビッシュ有投手(カブス)でも調子が悪ければ二軍でもKOされる試合もあるでしょうし、二軍のピッチャーでも絶好調なら一軍で完封できるかもしれない。先発投手として年間20数試合投げるなかでいくつ勝てるかという勝負になるので、いかに平均値を上げられるかが大事になってきます。
早川 はい。
山本昌 大野が2年前になぜ勝てなかった(0勝3敗、防御率8.56)かというと、いろんな球種を覚えて、楽しようとしたから。すべての球種が8割くらいのボールになってしまった。カットボールを捨てたことで、真っすぐの切れ味が戻って、ほかの球種の使い方もよくなりました。早川くんはどんなカウントでも一級品のボールを投げられるので、これ以上に球種を増やすよりも、頼れるボールをつくったほうがいいと思います。
早川 なるほど。
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