山本昌が早川隆久の活躍に太鼓判「大野雄大のルーキー時代より数段上」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sano Miki

---- 身体的な大変さだけでなく、プロは精神的な負荷もかかる世界だと思います。メディアに叩かれ、ファンからヤジられ、病んでしまう選手もいると聞きます。山本さんは年間通して、どんなメンタルコントロールをしていたのでしょうか?

山本昌 私のなかで、根拠のない自信を持ってやっていました。「夏になれば絶対によくなる」というね。先発して1カ月くらい勝てないと、チームの中で居場所はないし、周りからもいろいろと言われて恥ずかしい思いをするものです。でも、やっぱり勝った時の喜びを目指して頑張るしかありませんでした。それは我慢ですよね。その分、勝った時の喜びはとても大きくて、代えがたいものですから。

---- プロとアマの違いはあっても、早川投手は名門大学特有のプレッシャーと戦って、最後に優勝という喜びを知りました。その勝利の喜びはどうでした?

早川 自分のなかで純粋に勝った喜びはあるんですけど、それ以上に最後にスタンドを見た時に喜んでくれている人の姿を見て、「やってきてよかったな、報われたな」と思ったんです。喜んでくれる人のために野球をしている部分もあるので。これからも支えてくれる人のためにも自分を追い込んでやれるかなと思います。

山本昌 すごいね。大人ですね。まあ、野球なんてボクサーに比べたらたいしたことないですよ。ボクシングは人前で殴り合って、KOされてのびちゃうかもしれないんだから。野球のKOなんてかわいいものですよ(笑)。まあ、その話をボクシングの元世界チャンピオンにしたら、「ボクシングは倒されたら誰からもヤジが飛ばないけど、KOされたらヤジが飛ぶ野球のほうがイヤ」と言っていたけど。

---- 早川投手、今日は山本さんと話してみてどうでしたか?

早川 これだけ経験を積んできている方のお話なので、ためになる話しかありませんでした。話をお聞きしながら、メモを取りたかったくらいです。

山本昌 今日は長い時間、つき合ってくれてありがとうございました。また、取材でお話を聞かせてくださいね。

早川 もちろんです。ありがとうございました!

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