2020.09.19

宮西尚生の偉業を支えた常識破りの投球術。
「使えねぇな」から屈指のリリーフへ

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 寺崎江月●協力 cooperation by Terasaki Egetsu

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「北の鉄腕」が語るリリーフの極意 前編

 プロ入りした2008年から昨年まで12年連続で50試合以上の登板を続け、日本球界を代表するリリーバーとなった日本ハムの宮西尚生。8月12日にプロ野球史上初となる通算350ホールドを達成。9月19日のロッテ戦で通算登板試合数が720に達し、歴代12位の記録となった。

 そんな"北の鉄腕"が、初の著書『つなぎ続ける心と力 リリーフの技&受け継ぐ魂のバイブル』(廣済堂出版)を刊行。幾多の緊迫した場面を潜り抜け、チームの勝利を手繰り寄せてきた投球術も記されている。今回は、アマチュア時代から宮西を知る筆者が、取材を通して知り得た極意の一端を紹介する。

今季、通算350ホールドを達成した宮西尚生 photo by Sankei Visual 13年前の2007年ドラフト当日。某雑誌の依頼を受け、筆者は宮西尚生を取材するために関西学院大の一室にいた。

 この年のドラフトは高校生と、大学・社会人選手を分けて指名する「分離ドラフト」の最終年。雑誌編集者からは「2巡目以上の指名なら行数を取るので、たっぷり書くように」と言われていたが、宮西は日本ハムから大学・社会人ドラフト3巡目指名。原稿は、本人のコメントを数行入れただけのコンパクトなものになった。

 それが当時の宮西の評価だった。大学2年春に、リーグ戦で48回1/3無失点。2年後のドラフトの目玉になる勢いがあったが、4年時にフォームを崩して不調に陥る。それぞれ1位指名でプロ入りした、同級生の大場翔太(東洋大→ソフトバンク)、長谷部康平(愛知工大→楽天)、加藤幹典(慶応大→ヤクルト)らに大きく水を開けられ、ドラフトの結果もその評価通りになった。

 ここで宮西の負けん気に火がついたが、1年目の1軍春季キャンプで待っていたのは、ふたつのダメ出しだった。