張本勲が落選!? 大番狂わせが起きた八重樫幸雄の日本ハムベストナイン
「オープン球話」連載第33回
【中田翔を救った稲葉篤紀の存在】
――八重樫さんが選ぶ「歴代ベストナイン」企画、今回は北海道日本ハムファイターズ編です。旧東映フライヤーズ、東京時代のファイターズも含めて、思い出の名選手たちを挙げていただけますか?
八重樫 ピッチャーはダルビッシュ有しかいないでしょう。彼が入団した時には、僕はまだスカウトじゃなかったけど、僕も仙台出身なので、いろいろな人から東北高校のダルビッシュのことはウワサに聞いていました。関係者の話によると、高校時代の彼はそんなに試合で投げていないそうなんです。ちょうど成長期ということもあって、故障がちだったらしいんですよね。だから、僕が注目し始めたのは日本ハムに入ってからのことなんです。
2003年9月、東京ドームでの本拠地最終戦を終えてファンに挨拶する日本ハムナイン――アマチュア時代にあまり投げなかったことによって、使い減りしなかったのがよかったんでしょうか?
八重樫 それもあるかもしれないけど、プロに入ってから貪欲に技術の習得に励んだこと、本人の努力が大きいという気がしますね。恵まれた体格や才能を持っていても、それを生かすかどうかは本人次第。才能を開花できないまま引退していった選手も多く見ているけど、ダルビッシュの場合は本人の努力のたまものだと思います。
――では、キャッチャーは?
八重樫 これは迷ったんです。1980年代に大宮龍男もいたけど、ここは田村藤夫かな? 田村はキャッチャーらしいキャッチャーでしたよ。自分を殺して、あくまでもピッチャー優先のリードを心がけていた。リードの傾向としては伊東勤タイプで、オーソドックスだったね。最初はアウトコースから攻めていって、大事なところでインコースを見せていく感じかな? バッティングはそんなに目立たないけど、「ここぞ」というときの意外性も含めて、「キャッチャーらしいキャッチャー」というイメージだね。
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