熟男じゃなくて熟夫・川﨑宗則の再出発「息子にはこれからの俺を見てほしい」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sportiva

 で、終わったら、お疲れ、See You!って、ピューンと帰る。今年は栃木で遊ぶし、来年は台湾で遊びたい。そういう姿を逸将に見せたいんです。ソフトバンクでのプレーも台湾でのプレーも逸将は見ているんだけど、でも、うろ覚えなのかもしれない。今はルールもわかってきて、野球をやってみて、それでおれを見てる。うまくなりたいと思って練習して、またおれを見る。どんどん、違って見えてくるでしょ。

 だから逸将にはこれからのおれのことも見てほしい。練習に行っても、見てるもんね。おれもそうだった。仕事をする親父の背中を見て、『ああ、お父ちゃん、頑張ってるんだな』って思っていたし。親父が働いてる意味を子どもながらに感じていたわけで、それを逸将にも見せたいという想いはあります。逸将に『おお〜、すげえ』と思ってもらえるような、自分でもやってみたいと思わせるような、そんなプレーをね。三遊間の深いところから、ジャンピングスローでギューンと投げて、アウトーって、そういう背中を見せたいよね」

 どこでやっても、野球は野球。

 52番を背負う川﨑宗則は、逸将くんのまなざしを感じながら、この秋、栃木でボールと遊ぶ。39歳、カッコいい親父の背中を見逃すな――。

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