解説者5人の「広島・森下暢仁論」。マエケンなみの高度な投球術 (4ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

◎西山秀二氏

 プロデビュー戦のDeNA戦を見ましたが、すべてが完璧でした。スピード、キレ、コントロール、そして度胸......ルーキーのピッチングではなかったですね。そのなかでも印象的だったのが、変化球の精度の高さです。

 森下の場合、タテのカーブのイメージが強いですが、カットボール、チェンジアップもすばらしい。しかも使い方がうまいですよね。たとえば、カットボールは左打者のインコースを突いたかと思えば、外からストライクゾーンに入れることもできる。デビュー戦は會澤(翼)のリードもよかったと思いますが、それに応えられる森下が立派ですよね。

 開幕前の練習試合で打ち込まれたましたが、あれも今になって思えば、いろいろと試していたような気がします。使えるボール、使えないボールを判断していたのかなと。いずれにしても、開幕までにしっかり修正してくるわけですから、修正能力の高さも特筆すべき点です。

 おそらく「プロでもやっていける」という思いはあったと思いますが、DeNA戦のピッチングで自信が確信に変わったのではないでしょうか。

 心配な点は、あれだけいいピッチングをして勝てなかったこと。プロには"勝ち運"のない投手っているのですが、それにならないか不安です。昔、黒田(博樹/元広島)もそういう時期があって、苦労したことがありました。いいピッチングをしているわけですから、実力は誰もが認めるのに、勝ち星だけがつかない。

 昨今、勝ち星がすべてじゃないという風潮もありますが、やっぱり先発投手として投げるからには勝ちたいですよね。とにかく、まずは1勝。そうすれば、これからも自分のペースで投げられると思いますし、自ずと勝ち星もつくと思います。

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