オリックスのジョーンズが誇る1本の
バント。監督も絶賛した判断と献身性

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Hosono Shinji

 2003年にシアトル・マリナーズにドラフト1巡目で指名され、これまで長くプロ野球人生を送ってきたアダム・ジョーンズだが、今年初めて経験したことがある。それはスーツを着て、キャンプインしたことだ。

 これまでMLBでプレーしていたジョーンズは、アリゾナかフロリダのキャンプ地にフード付きのスウェットを着用し、スニーカーを履いてやって来た。だが今年からオリックスでプレーするジョーンズは、日本式に従い、黒いスーツに黄色のネクタイを着けてキャンプインした。

オリックスに新加入したメジャー通算282本塁打のアダム・ジョーンズオリックスに新加入したメジャー通算282本塁打のアダム・ジョーンズ「キャンプでスーツを着用したのは初めてでした。でも、いい刺激になりました。これまで17年間、同じことを繰り返してきましたが、日本では新たに自分の可能性を広げていきたい。だから、キャンプにスーツを着ていったのは、その始まりのひとつだと思っています」

 マリナーズ、ボルチモア・オリオールズ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの3球団で通算1823試合に出場した大ベテランは、オリックスと2年契約を結んだが、特別待遇を要求することもなく、「チームに溶け込みたい」「チームから信頼される選手になりたい」「日本の野球を理解したい」と、新天地でのプレーに意欲を燃やしていた。

 じつは、積み上げてきた数字にも、そうしたジョーンズの姿勢が反映されている。言うまでもなく、メジャー通算282本塁打の長打力と通算打率.277の安定感が評価され、ジョーンズはオリックスと契約をかわした。

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